運命じゃない人  
2006.10.05.Thu / 22:34 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
それと、予告編も見ないほうがよいと思います。




同じ時間軸での出来事を、
3人の男たちの視点で、順番に見せてくれる映画。
釈然としなかったことが、
他の男の視点で語られると納得したり、
台詞の意味合いは変化するし、物語の意味合いも変化する。
そして、題名である「運命じゃない人」の意味までも。
自分は身の回りで起こっている事をすべてを知っているつもりでいても、
知らないところで自分に関わるドラマが展開しているのかもしれません。
自分が今、幸せを感じているのは、
知らないところで、何かが起こった結果なのかもしれません。
人間のさまざまな側面を見せてくれる映画。
そして、とても、やさしくて暖かい映画。

「人生30越えたらもう運命の出会いとか、
 友達から始まってラブラブとかねーんだからな。
 クラス替えとか文化祭とかないんだぞ!」

あゆみさんに振られても、未練を断ち切れない宮田クン。
友人の神田に説教されても、ナンパにも乗り気がしません。
そんな中で知り合う、婚約破棄という似たような境遇の真紀さん。
似た者同士、一夜の宿を提供することになったものの、
突然のあゆみさんの訪問に、真紀さんは逃げ出してしまいます。
追いかけようとする宮田クンを真紀さんは、

「自分のものになりそうだったら、誰でもいいから好きになるんですか。
 さっきあったばっかりなのに。私のこと、何も知らないのに。
 変です。」

と突き放します。
確かに正論かもしれません。
今までの宮田クンならば、ここで引き下がってしまったでしょう。しかし、

「携帯の番号をなめんなよ。
 11桁の数字を知ってるのと知らないのとが、
 赤の他人とそうじゃない人を分けているんだぞ。」

タクシーを追いかけ、最後には真紀さんの電話番号を得る宮田クン。

真紀さんは、運命の人なんかじゃない。
出会いは偶然であったのかもしれませんが、
出会いを、赤の他人じゃない人に繋げたのは、
宮田クンの決断と行動なのでしょう。



「あいつは子供の頃からの親友だから心配なんだよ」

最初はちゃらんぽらんな奴に見えた金田。
宮田クンを急に呼び出しても、しかし、待ちぼうけをさせます。
ですが、それにも深い分けがありました。

やくざにつかまり、自らの命が風前の灯火の中、
宮田クンの「あの娘、どうするんだよ。」との問いに、
「がんばれよ、せっかくのチャンスだ。」
これが、一歩間違えれば、金田が宮田クンに与えることができる
最後のチャンスになったのかもしれません。

しかし、最後まで秘密を守りきり、宮田クンに再会する金田。
「平気でそういうことをするんだよ、女は。」
あゆみさんに痛い目にあわされた金田の実感がこもった台詞。そして、
「早く、地球に住みなさい。」
しかし、どこか愛情が込められた台詞。きっと、
地球に住んでいないような純粋な、そんなお前が大好きだ、
という想いが込められているのでしょう。

真紀さんは、運命の人なんかじゃない。
出会いも、その過程も金田の友情が演出したものなのでしょう。



「おまえもひとりじゃ、さびしいだろ。
 さみしいもんだよ、一人ぼっちってのは。」

やくざの経営も楽じゃない。見栄を張るにもお金が必要。
そして、大金が、大金のみが人を惹きつける。
組長が知った、あゆみさんの本当の職業。
「自分の欲望に忠実な人間てのは、魅力あるよ。」
似た者同士は、お互いを引き寄せるのかもしれません。

「誰も信じない。一人で生きてゆくんだ。一人で。全然寂しくない。」
そして、一人で生きていけるだけの大金を手に入れたときに、
真紀さんは、宮田クンのもとを逃げ出します。

「自分のものになりそうだったら、誰でもいいから好きになるんですか。
 さっきあったばっかりなのに。私のこと、何も知らないのに。
 変です。」

この台詞は、自らの行為を正当化するためのなのでしょう。
宮田クンは、自分を手軽に、ものにするために親切にしたんだ。
さっき会ったばかりなのに、、、、
でも、本当はそうではないことを、
真紀さん自身が一番よくわかっているはずなのです。

だからこそ、真紀さんは再び宮田クンの下に帰ってきます。
人は一人でも生きられるのかもしれない。しかし、それはとてもさみしいこと。
他人に裏切られて、傷つき、その痛みを知っているにもかかわらず、
しかし、他の人を裏切るのは、もっとさみしいこと。

真紀さんは、運命の人なんかじゃない。
同じ経験と痛みを通じて、理解した、似た者同士。
惹かれあうのは必然なのでしょう。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.424 / タイトル あ行 /  comments(4)  /  trackbacks(4) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from きこり -

おもしろかったです。
キャスティングもすごくユニークでしたよね。
中村靖日さんのことが何だかすごく好きになりました。
真紀を演じた霧島れいかさん、初めて見たのですが、深刻なのに笑えるといか、それと一瞬の怖い顔が印象的でした。宮田と神田の距離もいい感じでした。
ラスト、あれからどうなったのか想像するのが楽しい映画でした。

2010.02.18.Thu / 07:35 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

きこりさん、こんにちは。

 この映画、きこりさんも気に入ったようで、うれしいです。
 主演されている方々はどちらかと言えばメジャーじゃない方が多いようなのですが、皆さん巧みに役とストーリーを表現されていて、見ごたえがありました。私は予備知識ゼロだったので、なおさらでした。
 真紀さんと宮田クンは、その後どうなったか、想像するのは楽しいですね。その前に、なにも知らずにやってきた会社の同僚(上司?)と、どんなになるかも、興味がつきません。

 それじゃ、また。
 

2010.02.21.Sun / 15:47 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from YAN -

ヤンさん、こちらにも。
ヤンさんと同じ頃に観たかったな~って思いました。
知らない俳優さんばかりで、ちょっと地味に感じてしまって(^^;
ヤンさんほどの感動は受けなかったんだけど、
内田けんじ監督の原点らしい内容で、
とても楽しかったし、温か味がありましたね!

何と言っても、男2人の友情がステキでした☆
運命の人じゃなかった真紀さんは、
知らない所で何かが起こったせいで、
運命の人に変わるような気がしました。

2013.09.27.Fri / 18:00 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

ちょっと期待が大きすぎて残念な結果?
になってしまったようですね。
確かに時系列をバラバラにした映画は最近では珍しくないですしね。

最初はチャランポランに見えた神田でしたが、
本当は友達思いの優しい男でした。
ラストの台詞がとても居心地が良かったです。
ところで、今更ながらに気付きましたが、
感想に、金田って書いてありますが、神田の間違いですね。
ああ、はずかしい。

それじゃ、また。

2013.09.30.Mon / 22:06 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY
運命じゃない人 (2004) 上映時間 98分 監督: 内田けんじ 脚本: 内田けんじ 撮影: 井上恵一郎 音楽: 石橋光晴 出演: 中村靖日 霧島れいか 山中聡 山下規介 板谷由夏
2006.10.08.Sun .No55 / Kozmic Blues by TM / PAGE TOP△
監督 : 内田けんじ 出演 : 中村靖日 , 霧島れいか , 山中聡 , 山下規介 , 板谷由夏 脚本 : 内田けんじ 音楽 : 石橋光晴 時間 : 98分 ラブストーリー?サスペンス? 気...
2007.02.27.Tue .No90 / Ossan's Blog / PAGE TOP△
 なんだか、かわいい映画でしたわ~ それは私の中の中村靖日さんのイメージでもあるんですが、きちんとしてて、 清潔で、柔らかくて、軽やか・・・ 一見普通そうなんだけど、いやまてよ・・って二度見してしまう。 通り過ぎたのに頭の中に印象が残って、いろいろ考え...
2010.02.18.Thu .No353 / トリ猫家族 / PAGE TOP△
内田けんじ監督の長編デビュー作。 周囲でとても評判が良いので観てみたかった~ 今回やっとレンタル出来て、鑑賞に至りました。 監督:内田けんじ 製作:2004年 日本 上映時間:98分 出演:*中村靖日 *霧島れいか *山中聡  *山下規介 *板谷由夏 この日、ボクの家のドアは3回開いた・・・ 「アフタースク-ル」「鍵泥棒のメソッド」を観た後では、 正直...
2013.09.27.Fri .No591 / RockingChairで映画鑑賞 / PAGE TOP△

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.