2006.10.19.Thu / 19:56
「ネタバレ」あり。ご注意願います。
所詮、人は自分という基準でしか
他人を計れない
他人の中に見たと思った
憎しみも、裏切りも、嫉妬も
全ては自分がしてきたこと
抱いてきたもの
120分という短い時間に、
弟の兄に対する想いが大きくゆれる。
そして弟は、果たして最後には真実にたどりついたのだろうか?
そんなゆれる想いが凝縮された映画。
智恵子を殺したのは、それは、二人の兄弟なのだろう。
二人の兄弟の行為が、ともに彼女を殺してしまったのだ。
少なくとも、弟は、そう感じていたに違いない。
「智恵子は人に殺されるような子なのですか?」
人に殺されていい人などは決していない。
しかし、殺されてしまった智恵子。
自分が智恵子の殺人に関与していると感じている弟には、
その問いかけには、答えることができなかった。
そんな中、お互いを助けたいと願う兄弟。
しかし、弟の気持ちは、純粋に兄を想ってのことなのか?
弟が兄を助けようとしたのは、
紛れもなく、自分を助けようとしたためだ。
兄の無実は自らの無実。
自分が兄を追い込んだなどとは、思いたくもない。
無実となった兄の姿を見ることで、
そして、自らを責めて苦しむ兄を助けることで、
弟は、自らの自責の念を軽くしていたに違いない。
たとえば、罪を犯し、それを告白し、刑を受ければ、
その人の魂は、安らぐのだろう。
しかし、人が嘘をついてでも自分をかばい、
犠牲となって、自分を助けているのだとしたら、、、
智恵子との関係を知っていた兄。
しかし、それを黙っている兄。
すべてを知っていて、憎いはずなのに弟をかばう兄。
弟には、それが兄の純粋な愛情とは思えなかった。
お前がして欲しいことを俺がやったんだ。
悪いのはすべて、おまえだ。
おまえが嫉妬にかられ、人生を踏み外し、
忘れたいたはずの過去を掘り起こしたからなのだ。
すべてのバランスを崩したのは、おまえだ。
智恵子の心をゆらしてしまったのもおまえ。
だけど、黙っていてやるよ。俺がすべての罪をかぶって、、、
すべてを見透かされ、
完全に逆転する弟の中での、兄弟の立ち位置。
そんな状況に、耐えられない弟。
それこそが、兄の復讐なのだとしたら、、
兄と決別するため、決別して自らを守るため、
ついに、自分が最初から信じていた事実を、
兄に不利な証言をしてしまう弟。
短い中に、すべてを語ってしまうシーンの数々。
開けっ放しの冷蔵庫。
こぼれたお酒を拭く兄の足に、静かに垂れる酒。
切られたままのトマト。
洗濯物を畳む兄
家事をしたこともない父が回す洗濯機
面会室のガラスに映る顔。
それらシーンもとても印象的。
香川さんとオダギリさんは、いうに及ばず、素晴らしいのですが、
新井浩文さんが個人的にはツボでした。
最後には、真実にたどり着く弟。
兄の純粋さ。そして楽しかった過去の思い出。
罪を償うためなのではなく、兄を慕い迎えに行こうとする弟。
映画の最後、兄の見せた笑顔が印象的。
果たして、兄は、弟がたどり着いた姿のままなのだろうか?
それとも、やはりバスに乗って、弟と決別するのだろうか?
兄は、やはり、弟をかばう為、自らの無実を証言し、
しかし、弟の証言を受け入れたのか?
それとも、兄は今のつまらない生活を捨てたかったのか?
すべてを奪ってきた弟に復讐するために、弟の心をゆらしつづけたのか?
弟は、自分を信じていない、そのことを痛感した兄の心情は、、、
怒りなのか、悲しみなのか、悟りなのか、、、、
兄はバスに乗るのか、乗らないのか?
後者を希望しつつ、それでも私には、
悲観的にも前者を予想せざるえ得ませんでした。
・ゆれる|映画情報のぴあ映画生活
その人の魂は、安らぐのだろう。
しかし、人が嘘をついてでも自分をかばい、
犠牲となって、自分を助けているのだとしたら、、、
智恵子との関係を知っていた兄。
しかし、それを黙っている兄。
すべてを知っていて、憎いはずなのに弟をかばう兄。
弟には、それが兄の純粋な愛情とは思えなかった。
お前がして欲しいことを俺がやったんだ。
悪いのはすべて、おまえだ。
おまえが嫉妬にかられ、人生を踏み外し、
忘れたいたはずの過去を掘り起こしたからなのだ。
すべてのバランスを崩したのは、おまえだ。
智恵子の心をゆらしてしまったのもおまえ。
だけど、黙っていてやるよ。俺がすべての罪をかぶって、、、
すべてを見透かされ、
完全に逆転する弟の中での、兄弟の立ち位置。
そんな状況に、耐えられない弟。
それこそが、兄の復讐なのだとしたら、、
兄と決別するため、決別して自らを守るため、
ついに、自分が最初から信じていた事実を、
兄に不利な証言をしてしまう弟。
短い中に、すべてを語ってしまうシーンの数々。
開けっ放しの冷蔵庫。
こぼれたお酒を拭く兄の足に、静かに垂れる酒。
切られたままのトマト。
洗濯物を畳む兄
家事をしたこともない父が回す洗濯機
面会室のガラスに映る顔。
それらシーンもとても印象的。
香川さんとオダギリさんは、いうに及ばず、素晴らしいのですが、
新井浩文さんが個人的にはツボでした。
最後には、真実にたどり着く弟。
兄の純粋さ。そして楽しかった過去の思い出。
罪を償うためなのではなく、兄を慕い迎えに行こうとする弟。
映画の最後、兄の見せた笑顔が印象的。
果たして、兄は、弟がたどり着いた姿のままなのだろうか?
それとも、やはりバスに乗って、弟と決別するのだろうか?
兄は、やはり、弟をかばう為、自らの無実を証言し、
しかし、弟の証言を受け入れたのか?
それとも、兄は今のつまらない生活を捨てたかったのか?
すべてを奪ってきた弟に復讐するために、弟の心をゆらしつづけたのか?
弟は、自分を信じていない、そのことを痛感した兄の心情は、、、
怒りなのか、悲しみなのか、悟りなのか、、、、
兄はバスに乗るのか、乗らないのか?
後者を希望しつつ、それでも私には、
悲観的にも前者を予想せざるえ得ませんでした。
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