虹の女神 Rainbow Song  
2006.11.30.Thu / 21:16 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。





人生の岐路に立つ者のあせり、とまどい、不安。
他人から見れば、単純に見えるかもしれない自分の人生。
しかし、自分自身にとっては難しい。
自分の人生における大切なものが目の前にあったとしても、
それを手に入れるのは難しいのだろう。
けれど、それは、仕方の無い事。
人は、そんなに上手には生きられない。
若ければ、なおさらなのだろう。


卒業をまじかに控える智也とあおい。
あせり、とまどい、不安。
10年後の自分は、いったいどんなであろうか?
10年後に想いを馳せてみても、しかし、
明日の自分の人生も決められないでいる。

夢は、所詮は夢。
就職活動のさなか、
あおいは、自分の夢をあきらめかける。
しかし、背中を押してくれたのは智也。
けれど、あおいからは、とても生き急いでいる印象を受ける。
それは、あたかも、彼女が自分の死を予期しているかのように。
自分が創った映画の中のように、
世界の終わりが、自らの死が、身近に迫ってるかのごとく、
自分に足りないものを懸命に追いかけ、
もがいているように感じる。
なぜ人は就職するのか?
自分の道を決めることに躊躇している智也。
私には、智也は、あおいの想いを、
うすうす感づいていたように、思えてならない。
自分の人生を決めてしまうことの不安、とまどいが、
あおいの想いを直視することも、
その想いに答えることも、妨げていたのだろう。
 日本に居たくない、失恋したから。
 好きな人がそばにいろ、って言ったらそばに居るのに。
そんなあおいの告白にも、
 日本に居ればいいじゃん。
と答えるのが精一杯なのだろう。
日本に居ろよ、とは、なんと、卑怯な答えなのだろうか。
しかし、それが精一杯。そして、
 日本なんだ、そばじゃ、ないんだ。
という、あおいの言葉にも沈黙してしまう智也。
だが、半ば、脅迫に近い形で結婚を迫る千鶴を、拒否ができないでいる。
状況に流され、情に流され、自分で道を決めるのは躊躇するのに、
他人から強制されると、相手に完璧な非が無い限り、
嫌とは拒否できないのだろう。
嘘をきっかけに、やっと、千鶴を拒否できた智也。しかし、
 最初からすべてを告白していれば、受け入れてくれた?
千鶴は自分を正当化したかっただけなのかもしれないが、
智也には、別な意味で痛かったのだろう。
人生に妥協しろ、と迫られなければ、
自らの道を決められない自分に対して。

自分の映画の中で、
 好きな人と死ねれば、寂しくはない。
と独白するあおい。それは、彼女の本心なのだろう。
しかし、意に反してアメリカ行きを決める、あおい。
自分が創った映画を通して客観的に自分を眺めれば、
自分も世界も、シンプルに捕まえることができる。
しかし自分の人生の中においては、それはとても難しい。

最後に、あおいに届いた虹の写真は、
果たして、死に逝く彼女の寂しさを和らげたのだろうか?
きっと、そうであったのだろう。
そう信じたい。

あせり、とまどい、不安。
その中で、大切なものを永遠に失ってしまった二人。
たしかに、「馬鹿だな、お姉ちゃんも岸田さんも」なのであろう。
しかし、それは仕方の無い事。
人は、そんなに上手には生きられないのだから。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.440 / タイトル な行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.