ただ、君を愛してる  
2006.12.28.Thu / 21:26 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




美しい風景と、美しい人のやさしさ。
美しさを追求するあまり、
ドロドロとした人の汚さは極力排したためでしょうか、
現実味に欠け、数々の疑問が生じてしまう映画です。
しかし、それでも美しさが心に残る映画。

そして、里中静流を演じた宮崎あおいさんがすばらしい。
くるくると変わる豊かな表情。
幼さと、真っ直ぐなひた向きさ。
世界のすべてを見てやろうと思うくらいの好奇心。
そして、胸に秘める強い意志の力。
「私はただ、好きな人が好きな人を、好きになりたかっただけ。」
そんな、けなげさ。そして、強さ。
宮崎あおいさんの魅せる演技が抜群の映画です。
大学の入学式の日。
ひたすら、車が止まってくれることを待ち続ける静流さん。
運転する人々の中に、小さな存在である自分に目を留めてくれる、
やさしい紳士の出現を待っていたのでしょう。
しかし、紳士は思わぬ方向からやってきました。

皮膚が弱くて塗っている薬の匂いにコンプレックスを持つ誠人。
それ故に、人との距離を保ちながら生活しています。

そんな二人と、誠人が好きな、みゆきさんを交えて、
奇妙なバランスの上に成り立つ、カメラと秘密の森とでの、三角関係。
きっと、誰もが、
そのいごこちの良さを崩したくは、なかったのでしょう。特に誠人は。

しかし、いつまでも続くと思っていた平穏は、
想いよりはもろく、崩れてしまいます。
誰もが他人の心が分かる超能力を持っているのでしょうが、
しかし、自分の心だけは分からなかったのでしょう。

初めてのキスが、もしかしたら、
大きな始まりになり得たのかもしれない。
そう思い、悲嘆にくれる誠人。

初めてのキスを心の支えにして、
新しい世界へと旅立つ静流さん。

静流さんは、最後には死を選んだ結果には、なりましたが、
彼女の真っ直ぐな想いが、
彼女を幼虫から美しい蝶へと変化させたのでしょう。
自分の人生を最後まで全うしたい。そして、
その姿を、愛しい人の心に留めておきたい。
この映画のラストが、ストーリー的には悲劇なのですが、
悲惨な印象を残さないのは、
静流さんが、自分の人生を精一杯生きて、
しかし、誠人には、(本人からは)自分の死を告げず、
「さようなら、また、いつかどこかで会いましょう。」
と、潔く静かに去っていくからなのでしょう。
想いは果たされた、という気持ちを胸に。
「私、私に生まれてきてよかった。
 他の誰でもなく、私に生まれてきてよかった。」
という想いを胸に。

それを静かに見つめる誠人。
その姿は、まさに、「ただ、君を愛してる」なのでしょう。

純粋で、切なくなる映画ですが、
最後には暖かな気持ちで心が満たされる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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