キング・コング  
2007.01.25.Thu / 22:18 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




未開の地への冒険活劇、
未知の生物たちが襲うサバイバル映画、
美女と野獣の恋愛映画、大都会を襲う怪獣映画、
さまざまな面白さを詰め込んで、全編188分の超大作。
しかも、面白い。まったくダレない。
ピーター・ジャクソン渾身の映画。

1933年の大恐慌真っ只中のニューヨーク。

売れない女優といえども、
舞台女優のプライドを忘れないアン・ダロウ。

「未知なる世界を、映画の入場料だけで見せてやる。」
未知なる世界を愛し、映画会社に見捨てられようとも、
映画作成に猪突猛進してゆくカール・デナム。

もしかしたら、アンは船に乗るまでは、
映画に出演する決意は、まだ固まっていなかったのかもしれない。
船長にも脅されるものの、タラップに最初の一歩を決意とともに踏み出すアン。
ピーター・ジャクソンはこういうシーンが大好きなんだな、とつくづく思う。

目指すは髑髏島。
船員たちの噂話では、そこには、黒くて巨大な壁が立ちはだかると言う。
霧の中で方向を失うコンパス。岩礁に迷い込む船。
地図に示されている、不気味な髑髏のしるし。
いやが上にも盛り上がる不安と期待。
それらを裏切らない、髑髏島の造型と原住民たちとの接触シーン。
まったくもって、見事。
キング・コングが登場してからは、クライマックスの連続。
並走する恐竜の群れ。巨大昆虫に襲われる乗務員。
キング・コングと恐竜たちとの対決。そして、捕獲されるコング。

キング・コングとアンとのふれあいは、
ある時は、芸人と観客、
またある時は、守るものと守られるもの、そして、
夕日の美しさを共に共感できる恋人のよう。
きっと、アンに出会う前の、コングは、
とても寂しかったのではないのだろうか?
一人、ポツリと髑髏島に残されて。
周りは、自分を神か悪魔のように扱う原住民と、敵である恐竜たちのみ。
夕日の美しさを理解できるほど繊細なコング。
寂しさは感じていたのではないのだろうか?
そこに、心を通わすことができる存在である、アンがやってきた。
時に彼女は、コングに対してでも、
嫌なことは「NO」と言える、気丈な女性である。
そんなことも含めて、コングにとっては、
アンはかけがえの無い存在にまで、なったのであろう。

アンの為に恐竜たちと戦い、戦いの後、
ついて来いとばかりに背中を見せるコング。
まさに、男。

ニューヨークでの、つかの間の再会の後、
戦闘機によって殺されてしまう、コング。
デナム曰く、「美女が野獣を死なせたのだ。」
これは、直前の台詞、
「なぜ、逃げ場のないビルの屋上に上ったのか?
 殺されるに決まっている。」
「所詮は、野獣だからさ。」
という台詞の説明にも、つながるのだろう。
しかし、コングを殺してしまったのは、やはりデナム。
「愛するものを破壊せずにはいられない。」
これは、映画監督の持つ性にも通じるものがある気がする。
未知なる世界をフィルムに焼き付けたら、その瞬間から、
未知なる物は、すでに未知なる物ではなくなってしまう。
なにか、それに通じるものがあるように感じてならない。

しかし、ある一面で、デナムは正しいのかもしれない。
アンの為に自らが傷ついても、恐竜と戦い、戦闘機と戦うコング。
自分の命よりも大切な存在を見つけてしまったのだ。
そして、たとえコングが生きていたとしても、
コングとアンの関係はいつまでも続かない。
体の大きさや生物としての違いが、彼らの関係を許すはずも無い。
彼らの関係が壊れたとき、果たしてコングは、
元の一人ぼっちの生活に戻れるのだろうか?
それこそ、死を選ぶしか道が無いのだとしたら、、、
そう考えると、とても悲しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.458 / タイトル か行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from くりりん -

オリジナルの「キングコング」を見た時の方がすっきり理解できました。オリジナルでは、美女はコングを恐怖の対象としてしか見ていませんし、そういう意味ではコングが数倍も哀れでした。
きっとジャクソン監督も、そんなコングがかわいそうで、こんなラブストーリーにしたのではないでしょうか。(ジェシカ・ラング版を見ていないので、ジャクソン監督オリジナルの発想かは定かではありませんが)
でも、とにかく愛に溢れてましたよね。もう、ぼろぼろでした。オタク道を突き進んで、情熱の一本を作り上げたジャクソン監督、「ロード・オブ・ザ・リング」以上の作品だと私は思ってます。

2007.02.03.Sat / 11:31 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

 オリジナルは未見です。それと、オリジナルがそんな風に作られていることも始めて知りました。
 ジャクソン監督は、本当にこの映画が好きなんでしょうね。やりすぎだとは分かっていても手は抜けなかった。「オタク道を突き進んだ」というのは、確かにそのとおりでした。情熱のすべてをかけて、渾身の一本という感じでした。

それじゃ、また。

2007.02.03.Sat / 23:35 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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TBさせて頂きますので、よろしかったらTBをお待ちしております。 多くの感情を訴えかけてくるキング・コングの表情に魅了され、そしてアンを守り続ける一途な想いと、その切ない恋の結末にとても胸を打たれました。 ま
2007.02.03.Sat .No80 / シアフレ.blog / PAGE TOP△
★★★★★監督:ピーター・ジャクソン主演:ナオミ・ワッツ、アンディ・サーキス、エイドリアン・ブロディ2005年 ニュージーランド、米 1933年NY。大恐慌まっただ中、ボードビリアンのアンは失業し、食べるものにも事欠き街を彷徨っていた。つい手を伸ばしてしまったリン
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