地下鉄(メトロ)に乗って  
2007.03.08.Thu / 21:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




父を憎んでいた兄と妹。
しかし、タイムスリップにより、
父親の本当の姿を知る。
父は兄を疎んでいたわけではなく、
妹を忘れていた訳でもない。
戦争に翻弄された不幸な時代に生き、
そして、単に不器用なだけだったのだ。
よくある話の映画かもしれない。
しかし、最後に取った妹の選択が、
心に深く、のしかかってくる映画。


父を憎み、しかし、似たような生き方をしている真次。
父に忘れられたと思い、母のような生き方をしているみち子。
しかし、メトロによるタイムスリップにより、
父親の本当の生き方を知る二人。
しかし、二人が取った選択は、とても対象的。
真次の選択は、父親を受け入れ、許すこと。
たぶん、真次の一言が父を変え、その後の二人の今を変えたのだろう。
父の死に際に真次は父と和解しているように見えた。
しかし、みち子の選択は、自らの存在を消してしまうこと。
生まれてくる子供を想う母親の幸せと、愛する兄の幸せ。
それぞれの幸せを両天秤に賭けての選択。
不倫であり、実は腹違いの兄であった人を愛してしまった、みち子。
未来に幸せな生活などあるはずもない。
別れられれば済むのかもしれない。しかし、
離れがたいほどに、真次を愛してしまったのだろうか?
自らの存在を消さなければ、分かれられないほどに、、、
アムールに向かう途中で指輪を真次の背広に入れる、みち子。
その時点で、別れは覚悟はしていたのかもしれない。
しかし、その選択に対して背中を押したのは父と母の愛情なのだろう。
謀らずも、母親と同じ生き方をしてしまった、みち子。
心の奥には父と母への反発があったように感じられる。
少なくとも、みち子は、自分は両親には愛されてはないと錯覚し、
自らの人生を、幸せに生きる意味を、
見出せないでいたのではないのだろうか?
誰も心配はしてはくれていない、自分だけの人生。
だったら、大切に生きなくてもいい、
自分の思い通りに生きよう。その先に不幸が待っていても、、と。

しかし、自分は愛されていた。
「誰か、愛する人と幸せに暮らすだろうよ。」
そんな母親の、娘の幸せを願う祈りを裏切っている自分。
だからこそ、自分自身がして来た過ちを、
正したかったのではないのだろうか?

原作を読めば分かるのかもしれないし、
やはり、わからないのかもしれない、みち子の選択の意図。
しかし、みち子は、父の生き様と同様に、精一杯生き、
精一杯、自らの最後を選んたのだろう。
そんなみち子の最後が心に重くのしかかる映画。
* テーマ:映画★★★★★レビュー - ジャンル:映画 *
No.469 / タイトル ま行 /  comments(2)  /  trackbacks(3) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from kimion20002000 -

TBありがとう。
原作でも、みち子のことは結構書かれていましたからね。もうちょっと、監督さんの演出があれば、と思いました。

2007.04.02.Mon / 00:21 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

レス遅くなってすいません。
原作では、やはり、書かれていましたか。みち子さんのこと。監督としても、表現はしたいけど、露骨に分かるようにはしたくなく、ぎりぎりのところで抑えたのでしょうかね? 二度見れば分かることもあるかもしれませんね。

それじゃ、また。

2007.04.07.Sat / 17:45 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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