イカとクジラ  
2007.03.29.Thu / 22:44 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




自分とはいったい誰?
それは、家族という日常の中では、
今までは考えなくてもよかった疑問。
しかし、家族がバラバラになると考えずにはいられない。
自分の立ち位置を、
自分の感性を、
そして、自分の生き方を。
考えた、その果てにたどり着く、
母親から注いでもらっていた幼い頃の愛情。
子供にとっての、親離れを描いた映画。

そして、なんだか、見ていて恥ずかしくなるような、
人の恥部を盗み見ているような映画。
親が離婚する。
それは当人達の問題かもしれない。
でも激変する生活。
それは、すでに離婚の前からじょじょにではあったかも知れない、
でも、離婚を期に、明かされてゆく父と母の隠された素顔。
子供たちには絶対的であったはずの親達の価値観、子供に向ける愛情。
でも親と言えども男と女。ただの弱い人間。
綺麗なことばかりではない。
父の価値観に盲目に従う兄のウォルト。
母の愛情が恋しい弟のフランク。
しかし親にも彼等自身の時間が必要なのだ、男として、女として。
そんな現実を見せられた時、
父が、作家としては二流で、
ただの貧乏くさい男であることを知った時、
母が人恋しい、ただの女であることを知った時、
彼らの心の中にある、偶像は崩れ去ってしまう。
そして、父の命令に初めて逆らうウォルト。

セラピストとの会話の中で、
ウォルトは、母親との楽しかった過去を思い出す。
そこには、存在するはずの父はいない。
怖かったはずの「イカとクジラ」も、
母親との会話の中では、その怖さも半減する。
今、再び、「イカとクジラ」を見る。
そこに、嫌っていたはずの母親の愛情を思い出す。
それは、父親の呪縛からの開放なのだろう。
開放されてみて、初めて分かる、母親の愛情。
今まで当たり前だと思ってきたもの、
今まで見えていなかったもの、
そんなものの、価値と尊さが分かった瞬間。
子供にとっての、親離れを描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.479 / タイトル あ行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

どの親もただの人でただの男・女であるには
間違いないんだけど、
子供は、例えば親の性の話なんて聞きたくないし見たくもないですよね。
その辺りの配慮が全くない大人達で、唖然としました。

バラバラになった家族の物語ですが、
長男ウォルトのエピソードが一番印象的でしたね。
親の偶像は消え去り親離れはするんだけど、
同時に、ありのままの父・母を受け入れていくんでしょうね。

2011.08.17.Wed / 11:48 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

確かに、この映画の両親はひどい人たちでしたが、
映画を見ている間は、さほど気にならず、
むしろ、子供たちを応援している気持ちのほうが
強かったと記憶しています。
というか、実話に基づいているって、知らなかったから、
かなり、ダメさ加減が強調されていたのかも、って思っていたのかも、、、

全体的には目を覆いたくなるような話なのですが、
ラストシーンで救われた感じがしました。
そういう意味で長男のエピソードが私も印象的でした。

それじゃ、また。

2011.08.17.Wed / 20:32 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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