日本沈没 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




リメイク版の感想です。

日本が沈むという、
特殊な事象を描いた映画ですが、
テーマは普遍的なものであると感じました。
自分の命、愛する者の命、多くの人の命を、
どのように扱うべきなのか?
そんなことを描いた映画のように感じました。


人の命を数でしか見ない為政者たち。
しかし、自らの保身のことは真っ先に配慮し、
国外脱出を図ります。
しかし、一方で、国政に切り捨てられた命に、
最後まで寄り添う自衛隊やレスキューの隊員たち。
被害の前線で指揮を取る政治家の人々。


映画を見ていると、奇妙なシーン、
現実的でないシーンによく出会います。
一度しか見ていない私たちが奇妙に感じるのであれば、
何度もストーリーを練っている製作者たちには、
奇妙なのは、自明のことのはずです。
しかし、限られた上映時間にあえて、
そのシーンを残すということには、
製作者サイドの意図、その奇妙さを無視してでも、
描きたかったことがあるはずです。
この映画で私が感じた奇妙なシーンは、
沈み行く日本に神出鬼没に現れる小野寺です。

自分の生家、阿部さんの身内、放置された犠牲者、
小野寺は、まさに神出鬼没に沈み行く日本に現れます。
切り捨てられた命、日本が、自分の大切なものが失われていく人々を、
小野寺の目を通して、描きたかったのかもしれません。
本来であれば、結城に田所博士の日本を助ける計画に参加するんだ、
という話を聞いて、小野寺も参加する、
というストーリが、かなり映画的なはずです。
しかし、樋口監督は、そうは描きませんでした。
自分は、沈み行く日本で、いったい何をすれば良いのか?
実際に自分の目で見て、自分だけの考えだけで、
決めさせたかったのではないのでしょうか?
ここが、洗脳教育の元、熱にうかされたように、
自らの命を散らし、犠牲となってしまった特攻隊員たちとの違いでもあり、
自分の目で見て、自分で決める事の大切さを、
描きたかったのかもしれません。

最後に日本はかろうじて救われ、それを国民に発表する鷹森大臣。
彼女は、実際の難民を目の前にして、それを発表します。
命を数ではなく、実際に生きている人として捕らえる。
そして、彼らを目の前にして、将来の希望を語る。
それこそが、本当に大切なことなのでしょう。

自らの幸せ、愛する者の幸せ、多くの人の幸せ。
天秤に掛けるのは大変なことなのですが、
通り一遍の理屈ではなく、他人から強制されるのでもなく、
自分で見て、考えることが大切なのでしょう。

そういう意味で、樋口監督はかなり良心的な監督のように感じました。
映画的には多々文句をつけたくなるところもありますが、
映画の見方が甘い私には、この良心だけで、許せるように思えます。
多分、私だけだとは思いますが、、、、

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