アンジェラの灰  
2007.06.14.Thu / 21:38 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




貧困と差別、階級社会の残酷さ。
そんなことを描いた映画というより、
私には、宗教観が色濃く漂う、
人の救済を描いた映画のように感じた。
人は複雑な生き物、善人と悪人とに、簡単には括れない。
善人として生きたいと願ったとしても、
人は過ちを犯しやすく、想い通りには生きられない。
フランキーという青年が、
父の罪悪、母の過ち、自分自身の罪に直面し、
しかし、神の許しを請う。
だが、神に許しを請うとは、
自分が自分自身に許しを請う事なのだろう。
最期には自らを許しアメリカに旅立つフランキー。
自らの救済を描いた映画。



3つの顔を持つ父親。
自らの出身故に、ろくな仕事に付くことができず、
その憂さを酒で晴らす毎日。
稼いだ金は、すべて酒に消え、更なる苦しみを味わう。
そして、その苦しみから抜け出せないでいる。
だが、酔っていない父は、子供達に面白い話を聞かせてくれる。
この父親は、家族をとても愛している。
父親に捨てられ、従兄弟のところに身を寄せるしかなくなった。
子供達の居場所を確保するために、
従兄弟のベットで夜を過ごす母親。
金があれば、鼻先で教会の扉を閉められることもなく、
こんな屈辱を味わうこともないのだろう。

このような悲惨な貧困に、あまりに宗教は無力だ。
貧乏子沢山。
しかし、中絶や避妊は宗教によって認められていない。



学校を中退して職に就くフランク。
自分には、つらく当たっていた叔母が、
初めての仕事の為に、スーツを買ってくれた。
しかも、そのお金は、どうも人から借りたものだったらしい。
人は複雑だ。
父もそうだが、人は多くの顔を持ち、
簡単には良い人、悪い人には括れない。


郵便配達の仕事の途中で知り合う肺病を患った女性。
図らずも深い中となり、しかし、彼女は死に、
罪の意識に苛まれるフランク。
さらには、泥酔して、真夜中に騒ぎを起こし、
心ならずも、母をなじってしまう。
これは父親が取った行為、フランクが、もっとも嫌っていた行為。

今までは、人に言われて懺悔をしてきた。
しかし、今は自分自身の激しい後悔の想いから懺悔をするフランク。

「神は君の罪を許し、君を愛しておれらる。
 君も自らを愛せ。
 そうすれば、愛ある人間になれる。」

自分を許すことができず、罪の意識に苛まれ、
更なる罪を犯し、苦しみを深めていった父親。
彼は、最後には家族の元を離れざるをえなかった。
しかし、神に許されたと信じ、自らを許すことができたフランク。
宗教は、貧乏には無力でも、
罪を犯し苦しむ人の心を導くことができるのだろう。
苦しみと罪との輪廻から抜け出せたフランク。
だからこその、晴れやかな旅立ち。
自らの救済を描いた映画。
* テーマ:映画★★★★★レビュー - ジャンル:映画 *
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