恋愛睡眠のすすめ  
2007.07.20.Fri / 21:58 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




純粋で無垢な魂。
傷つくことを恐れ、
求めるものは絶対的な安心感。
しかし、絶対的な安心感を得ることは、とても難しい。
それは、自分自身の夢の中でさえ。
夢の世界とはいえ完璧ではない。
時には夢の世界に現実が忍びこむ。
見る者の恐れが自らの夢に投影されてしまう。
この映画の何処までか夢で何処からが現実なのか?
本当は途中から全てがステファンが見た夢なのではないのか?
かなり曖昧で、混沌とした迷路の様な映画。
その迷宮に感じられるのは、ステファンの待つ心細さと寂しさ。脅え。
それは、さながらに、
夢の世界に住む、さ迷い人の独特な想いなのかもしれない。
幼き子供にも似た、無垢な魂の持つ限りない孤独を描いた映画。



好きな人ができる。
それはとても素晴らしいことではあるが、
同時にとても厄介なこと。
仲良くなりたい。気に入られたい。
しかし嫌われたらどうしよう。
積極的にアプローチしたいけど、それに脅える自分が居る。

自分には才能があるはずだ。人から賞賛されるだけの。
それを認めない奴は、そいつがオカシイのだ。
でも、本当に自分には、そんな才能があるのだろうか、、、、

それらは、とても子供じみた発想であり、
ステファンが大人になりきれていない証拠なのかもしれない。
しかし、程度の差はあれど、誰にでも、
不確かな現実世界への恐れや不安、脅えは
持ち合わせているのではないのであろうか?

夢の中では誰でも王様。
しかし、自分の夢の世界であるはすなのに、
全てが自分の思い通りに、なるとは限らない。
恐れや不安が入り込み、夢を見る者自身を悩ます。

父親の死。生活の激変。
見知らぬ土地。
上手くしゃべれないフランス語。
雑用同然の仕事。
それらがステファンの孤独をより一層煽り、
夢と現実の境を曖昧にしてしまう。

果たして現実は何処までで、夢は何処までなのか。
なにを信じていいのか、どこまでが自分の妄想なのか。
カレンダーが成功したのは真実? それとも夢?
本当に自分には才能があるのだろうか?
自分が見ている現実は、とても頼りなくて心細い。

ステファンにとってはステファニーは絶対的な存在なのだろう。
なぜなら、ステファンにとっては、自分を唯一、
理解してくれる者であり、
自分を受け入れてくれる存在なのだから、、
しかし、それは同時に、
彼女も同じ孤独を抱えていることの裏返しなのだろう。

ステファニーは果たして自分に好意があるのか?
自分達には未来は、あるのだろうか?
信じたい、しかし、信じられない。
ステファニーは、彼女が知らないはずの手紙の中身を知っていた。
唇近くにされたキス。
ステファンの助言通りに作成されていた植物が乗ったノアの箱舟。
そんな僅かな真実にすがろうとするステファン。

最後にはステファニーとノアの箱舟で旅立つステファン。
自らの夢の中でさえ、現実の不確かさに悩まされてきた。
果たして、彼の行く先には、絶対的な安心は存在するのだろうか?
現実世界の雑多さ、複雑さ、不確かさ。
そんな世界を生きるのは、神経が磨り減り、とても疲れるのだろう。
しかし、時間は止まらない。生きて行かなければならない。

あいかわらず、シャルロット・ゲンズブールはとてもキュート。
年を取るごとに、かわいさが増す女優というのも稀有な存在。
そして、ミシェル・ゴンドリーの作る映画は、とてもピュア。
無垢な魂という言葉がとてもよく似合う映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.512 / タイトル ら行 /  comments(0)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
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4月28日(土)◆425日目◆朝8時に帰宅。11時半過ぎに起き、12時半に外出。渋谷へ。シネマライズ前に来ると長くはないが行列が出来てる。『恋愛睡眠のすすめ』の初日。場内ほぼ満席。イラストレーターのステファン君(ガエル・ガルシア・ベルナル)の現実での不器用な仕事っ
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