綴り字のシーズン 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




バラバラに壊れてしまった家族。
壊れたものは、破片を集めて修復する事は可能だ。
しかし、壊れてしまった家族は、
どのように直せばいいのか?
家族は苦しみの中で様々なものに、すがる。
それは光であったり、宗教であったり。
しかし妹が求めたものは、別な道。
それは家族に自分の真心を示す事。
バラバラになった家族が、
再生のきっかけを掴むまでを描いた映画。

バラバラになった家族。
その原因は様々だ。
自己中心的な父親。
トラウマを抱えた母親。
反抗期にさしかかった兄。

家事もこなし、教養もあり、
家族に対する愛情が深い父親。
自己中心的で、自分の興味あることには、
のめり込み易い人間ではあるが、
理想的な父親と言ってもいいかもしれない。
しかし、理想的過ぎるゆえに、
家族の一人一人が自立する妨げになっているのだろう。
父親の関心か妹に過度にむけられた時、
妻と兄は逆に父親から解放され、
しかし、外に向けて、自己の救済を求め始めたのだろう。

苦しみと寂しさの中で家族が求めた救いは様々だ。
しかし、彼等は一様に家族の外に救いを求める。
それでは、家族がバラバラになるのは必然だ。
バラバラになった家族に心を痛める妹。
なにも家族がバラバラになったのは彼女のせいではない。
しかし、自分が綴り字の大会に勝ったことで、
家族がバラバラになったと自分を攻める妹。

全国大会の終盤。
優勝を賭けた綴り字の暗唱で、
最後の字をわざと間違える妹。
自分が勝ち続けるかぎり、
家族はバラバラのままであると考えたからであろう。
そんな想いを理解する兄と父親。
その想いはきっと母親にも届いたことだろう。
救いは、家族の外にあったのではなく家族の内にあったのだ。
バラバラになった家族が、
再生のきっかけを掴むまでを描いた映画。



追記
ネットで調べると、どうも、
妹が最後に綴り字の暗唱をわざと間違えた理由は、
父親からの支配を否定する為であり、
理想的過ぎる父親に対して、
父親が期待する理想には応えられない、
何故なら人は完璧には生きられないから、
そして、自分の内には自分自身があるから、
という事が本来の理由のようです。
そして、兄も妻も、その姿勢から父からの独立を学んだようです。
多分それは正解なような気がしますし、
なにより映画としての構図にぴたりとはまる気がします。
しかし、自分には残念ながら、
そこまで感じることはできませんでした。

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