トゥモロー・ワールド 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




人類が生殖機能を失い、
ゆっくりと、しかし、確実に滅びゆく未来。
そんな絶望的な未来に、奇跡的に授かった赤ちゃん。
それは人類全体にとっては、
無条件に保護しなければならない、か弱くも明るい未来。
しかし、政治的な思惑に利用しようとする人々。
人類は何処まで愚かなのだろうか。
しかし、奇跡を目の前にして銃を下ろす兵士たち。
いたいけな赤ちゃんを守るため、命を投げ出す人々。
こうして未来は受け継がれてゆくのだろう。
人類の愚かさと救い難さ、
しかし、そんな絶望的な世界に希望をも見い出せる映画。



幼い我が子を失い絶望的な世界を生きるセオ。
いつ、テロに巻き込まれ命を落とすのか?
そんな不安以上に、
未来がない世界で生きる意味を見い出せないでいる。

そんなセオに元妻であるジュリアンから託された小さな命。
その理由は、「あなたを信頼しているから」。
我が子を失い立ち直れず、離婚してしまったセオとジュリアン。
しかし、そんな心の痛みを共有し、
そこから今だに、共に立ち直れないでいるからこそ、
ジュリアンはセオを信頼できたのだろう。
そして、その信頼する想いは正しかった。
ジュリアンから希望を受け継ぎ逃避行を始めたセオ。

人類最後の希望を目にしても人の態度は様々だ。
それを守り育て、自らの命に代えてでも、この世に残そうとする者。
争いを中断する者。
逆に争いに利用しようとする者。
しかし、皆、立場は違えども、
赤ちゃんを目の前にして、思うことは同じだ。
赤ちゃんとは、かくも貴重で有難いもの。
触れているだけで涙が溢れる。
「この子は女の子だ。」
そんなありきたりの事実ですら感動の対象に成り得るのだ。

最後には無事に母子を明日に橋渡しするセオ。
そして、彼の名前を受け継いだ赤ちゃん。
それを目の前にして、
セオは、自分の人生に意義を見出し、
至福の中であの世に旅立っていったことだろう。

子供が居ない世界のはずなのに、
子供を政治に利用しようとする。
一見すると、とても不自然ではあるが、
それこそが、人の救い難さを、よく表している。
そして、とてもリアルに感じる。
なぜなら、私達も、目の前に大きな問題があっても、
見て見ぬフリをして、争いを止めてはいないからだ。

だから、この映画は、小子化が極端に進んだ未来を、
描いている分けではない。
子供の大切さを知りながらも、
虐待を続け、自らの欲望の為に利用している今に、
警告を鳴らしている映画なのだ。
そんな悲惨な事実を目の前にしても、
何もしようとしない、解決をしようとはしない我々に。

子供たちはみなの宝物。
そんな当たり前なことを痛切に伝えててくる映画。

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