家の鍵  
2007.09.20.Thu / 22:23 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




十五年ぶりに再会した父と息子。
そんな二人か親子の絆を取り戻す
ハートウォーミングな映画と思いきや、
人間ならば誰でも持つであろう、人の弱さ、
そして、それ故の自己嫌悪、
それらを直視させられる残酷な映画。


ジャンニは生まれたばかりの息子を捨てた男。
そんな負い目を持ちながらも、
十五年ぶりに再会した息子は自分を責めないばかりか、
自分を慕ってくる。
しかも、どうやら自分の事を覚えているようだ。
ジャンニにとって、これは思わぬ展開なのだろう。


パオロは病気に守られている。
幼い子供ならば、なおさらの事。
しかし大人になったのなら、一体どうなってしまうのか。
守ってあげられるのは本当の父である自分だけ。
しかし、身体障害者に取って問題なのは病気ではなく親。
治療よりは大切なものがあるはずだ、と言って、
病院を抜け出し、杖を捨ててしまうジャンニ。
これはパオロの未来を捨てているのではないのだろうか。

親と子の情にほだされ、同居を決めるジャンニ。
それは、生後八ヶ月の弟がいるにも関わらず、、
だが、大きな音で音楽を楽しみたいパオロに、いらつくジャンニ。

身体障害者と生活するのには覚悟が必要だ。
二十年、愛する者のために自分の時間を、人生のすべてを犠牲にする。
絶望と日々、向かいあう。
愛する者に対して殺意を抱いても、それを恥じない。
そんな覚悟が必要なのだ。
自分が今置かれている現実を直視せず、表面的な事にのみ目を向ける。
そういう生き方をしなければ気が変になってしまうのだろう。
そんな生き方をしてゆく覚悟が必要なのだ。

最後にジャンニがパオロを怒ったのは、
パオロが、車を運転しようとして勝手にハンドルを触ったからではない。
自分の言うことを理解できないことに、
そして、自分の言うことに従わなかったことに怒りを覚えたのだろう。
ジャンニは自分を受け入れてはくれない。
それが分かったからこそ、パオロは家に帰りたいと願ったのだろう。

激しく怒り、その激しさと同じくらい自己嫌悪に陥る。
しかし、ジャンニの試練は始まったばかり。
いつの日か、愛する息子に殺意を抱く日が来るのだろう。
そして、自分を深く恥じる日々が来るのだろう。
だが、この映画のラストのごとく、
そのたびにパオロに癒されるのかもしれない。
そんな、絶望と希望が入り混じったラストが印象的な映画。

* テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画 *
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