恋人たちの食卓  
2007.10.04.Thu / 23:57 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




家族とは近くに居るようでいて、遠い存在。
同じ屋根の下に暮らしていても、
お互いの悩みや気遣いに気づかない。
そして、いつかは、自分の幸せを求めて巣だってゆく。
家族の幸せよりは、自分自身の幸せを優先させて。
しかし、遠い存在の様でいて、実は近いのも家族。
疎んでいても、父親を心配し、
最後には、味覚を取り戻すことさえ出来た。
住んでいる場所や共に食べる夕食だけではない。
相手を想う心が大切なのだろう。
家族の不思議な絆を描いた映画。

一流のシェフである父親、チェ氏。
オープニングで見せる調理の手際の良さ。
美味しそうで、かつ、美しく盛り付けられた料理の数々。
しかし、それを食する三人の娘にとっては、
この夕食はとても煩わしいもののようだ。
あんなに美味しそうに見えた食卓も、
食する人の箸が進まなければ、
なんだか、あまり美味しそうには見えなくなる。

最初、父親であるチェ氏が家族の中で、
自分の意志を強要する、暴君のように振舞っている印象を持つが、
次第にそうでないことが分かる。
娘たちの為に、洗濯をし、なんやかやと世話を焼く。
だが、料理にはこだわりがある。
その、こだわりが娘たちにとっては、煩わしいのかもしれない。

夕食を共に食べるには、家族の絆を確かめるためだろう。
しかし、そんな型にはまった習慣だけでは、
家族の絆は維持できないのかもしれない。

妊娠をして、家を出てゆく三女。
恋人を見つけ、家を出てゆく長女。
父親は、それを止めることはしなかったし、できなかった。
あまりに突然のことだから、だけではないのだろう。
それは、彼女たちの人生だからだ。
父親にとっては、寂しい反面、娘たちの巣立ちは、
望んでいたことでもあるからであろう。

次女は、昔は料理人に憧れ、それを父に止められた過去を持つ。
ドライに生きているようで、
長女のことを心配し、父親の健康のことも心配する。
アムステルダム行きが決まった時、
次女は父親の為に、それを断ってしまう。
だが、父親は父親で自分の人生の幸せを見つけていた。
とても不器用で父親には届かなかった次女の想い。

家族の象徴たる家が失われる最後の時、
夕食の食卓を囲んだのは父親と次女のみ。
こんな時にまで、次女の料理の批評をする父親に、
うんざりはするものの、
最後には、次女の想いは父親に届く。
味覚を取り戻すことができた父親。
調理も食事も、空腹を、自らの欲望を満たすためだけに行われるのではない。
人の想いを伝えるために料理を作る、食べる。
自分の想いを込めて料理を作り、
込められた想いに応えるために、大切に料理を食する。
そんな時にこそ、料理をした人の気持ちが食する人に伝わるのだろう。

食卓を通じて伝わらなかった感情。しかし、伝わった想い。
家族の不思議な絆を描いた映画。
* テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画 *
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