天然コケッコー  
2007.10.11.Thu / 22:30 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




田舎育ちの天然。
都会育ちと言えども、心の奥には天然を持っている。
都会だからって、田舎だからって、
そこにある、差異なんて、ほんのわずか。
どこか似たような天然を心に持っている。
自然にいろいろなことを感じ、自然に相手を思いやる。
そんな感性が、心の中に存在する。


田舎育ちのそよちゃん。
自然に感じ、感じたままに自然に振る舞う。
時として、自然に振る舞った結果、
相手を傷つけてしまう事もある。
大人の気配りや、気の効いた思いやりなど、
まだ、できはしない天然少女。

都会育ちの大沢くんは一見すると、
とてもドライで冷たい印象。
合理的で冷めた考えを持ち、無神経にも、思ったことをはっきりと言う。
だから、ときどき、そよちゃんを不機嫌にする言葉を平気で吐く。でも、
「伊吹はそんなこと、気にしないよ。」
修学旅行で始めていった東京で、
そよちゃんは、考えもなしに、お土産を選び、自己嫌悪に陥る。
そんなそよちゃんに、さりげないいたわりを示す大沢くん。
バレンタインディーのハプニングの時だって、
詳細を知らなくても、事情を察する。「いろいろ、あったんだな」と。
相手の痛みには、実は敏感な少年なのだ。

修学旅行の最中、
大沢くんの友達は、校舎のカケラであるコンクリートを大沢くんに渡す。
「僕らの学校、立て替えられるんだ。」と。
でも、大沢くんはシャレだと言って、それを置き去りにする。
けれど、そよちゃんは、それを大事に持って帰ろうとする。
田舎の自分の学校に、このまま新入生が入らなかったら廃校になってしまう。
そんなのは、絶対いやだ、と、そよちゃんは考えている。
そんな気持ちにも通じている。
大沢くんだって、別に悲しいわけではないのだろう。
友達と別れる時も、とても悲しそうだった。

何かを失う時、
失う物を慈しみ、心の中に留めておこうとするのか。
悲しみを忘れる為、わざとそっけなくするのか。
二人の違いは大きいのだけれど、
お互いに触れ合う接点だってあるはずだ。
そよちゃんが、最初は都会の大きな流れに酔ってしまい、
田舎にしか暮らせないのでは、と考えたとしても、
それでも接点は存在する。
都会のざわめきに耳を傾ければ、なんだか、田舎の山に似ている。
いつかは、キチンと付き合えるようになると思えるようになった。
多分、それは、大沢くんとだって。

丸刈りは嫌いだと言っていたのにもかかわらず、
最後には同じ高校に通うことを決めた大沢くん。
大沢くんだって、田舎でも十分暮らして行けると考えたのだろう。

それでも、世の中は、分からない事が多すぎる。
父親が浮気をしたんじゃないかとドキドキしたり、
キスに愛がないと幻滅されたり、、、
おとうさんは、なんであんなことをしていたんだろう?
愛のあるキスって、どんなんだろう?
でも、わからなくて当たり前。
大人の気配りも、大人の愛情も、すべてはこれから知ること。
背伸びしたって始まらない。未来はこれから。

ラストシーンでは、
鶏を全校生徒が金網の外から見つめているシーンで幕を閉じる。
しかし、なんだか、金網の中にいるのは生徒たちで、
鶏同様、自然の恩恵を受けながら、スクスクと育っていることを
象徴しているかのようにも見える。
子供には、こんなにゆっくりゆったり育って欲しい。
そんな願いが感じられるラスト。

田舎だからって、都会だからって、
そんなことによる差異はわずか。
誰もが心に天然を持っている。
それを大切に育てて欲しい。
そんな願いが感じられた映画。
* テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画 *
No.534 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
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監督:山下敦弘(2年近く、撮ってませんね) 出演:夏帆 岡田将生 佐藤浩市 夏川結衣 大内まり  出演:森下翔梧 本間るい 宮澤砂耶(すんばらしい!) 小さな村に住む中学生の女の子と、 東京から転校してきた男の子との恋愛。そして過疎を描いた作品。 ...
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