オフサイド・ガールズ  
2007.10.18.Thu / 22:24 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




イランでは、女性がスタジアムで、
競技を観戦することが、許されてはいない。
しかし、試合を生で観戦したいと願う少女たち。
そんな少女たちが、とてもたくましい。
男女差別を題材にしつつも、
エンターテイメントとして十分楽しめる映画。

母国のワールドカップ進出を賭けた大一番。
なんとしてもスタジアムで観戦したい少女たち。
あの手この手で検問を突破しようと試みるものの、
捕まってしまう少女たち。

なぜ、スタジアムの観戦が女性には許されないのか?
必死に警備の兵隊たちを説得する少女たち。
しかし、兵士たちには、確たる理由が説明できない。
彼らも、上官からの命令で従っているだけなのだ。
警備の兵士たちの説明によれば、
女性に汚いものを見せたくはないから、らしい。
品のない罵声、落書き、スタジアムの中は汚れたものだらけ。
戒律の厳しいイランであっても、スタジアムの中での罵声は許される。
しかし、そんなものは女性に見せたくはないのだろう。
この論理の中には、女性には清く美しくあって欲しい、
という男性の願いが存在するのであろうが、それと共に、
スタジアムでの罵声が男性にだけ許される特権という、
男性の身勝手さも垣間見える気がする。


大学に行って教育を受けるとは、こういうことなのか?
多分、昔の女性たちは黙って、この規則に従ってきたのだろう。
しかし、教育が理不尽な規則を破ることを教えたのだ。
そう、おじさんは考えているのだろう。
しかし、それだけではない。時代は変わりつつあるのだ。
捕まっているとはいえ、少女たちはたくましい。
タバコをふかし、いいたい放題の文句を言い、実況中継まで要求する。
そして、一度は脱走に成功した少女は、しかし、
兵士の身を案じて元に戻ってくる。
自立して自分の判断で行動する彼女たちは、本当にたくましい。

この映画のスタジアムの場面では、皆が自分を主張する怒鳴り声に満ちている。
サッカー観戦をしたい少女たち、それを抑えている兵士。
兵士同士も怒鳴りあい、相手の話を聞こうとはしていない。
それは、意義もよくわからなくなった規則を守らされていることと、
無関係ではない、と感じるのは考えすぎだろうか?

怒鳴りあっていた人々も、ワールドカップ出場決定を目前として、一体感に包まれる。
そして、出場決定後の国民たちの、はじけぶり。
この感覚は日本でも経験済みであり、容易に分かる感情だ。
男女の違い、年齢の違い、すべての違いを乗り越えて一体感に包まれる彼ら。
そんな一体感の中、集団で脱走に成功する彼女たち。
警備の兵士たちは、上官に怒られ罰を受けてしまうのか、
それとも、ワールドカップ出場決定という喜ばしい出来事で、
寛容にも許されるのか?
なんだか、とても気がかり。

男女差別を描きつつ、年代の違いによる認識のずれや、時代の変化、
差別自身の綻びを描きつつも、エンターテイメントとして十分に楽しい。
個性的な彼女たちのたくましさが見ていて本当に楽しい映画。



* テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画 *
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2006年 イラン 2007年9月公開 評価:★★★★ 監督・製作・脚本・編集:
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