クワイエットルームにようこそ 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




自分が好きな自分。
自分が嫌いな自分、それは、自分が認めたくない自分。
クワイエットルームで、その間を激しく揺れ動く明日香。
だが、最後には抜け出すことができた。
生きることは重いこと。
その重さの理由は、自分が嫌いな自分を、
冷静に見つめなければならないから。
しかし、それでも生きてゆかなければならないのだろう。
それに気づいた明日香は、最後には新たな人生を力強く始める。
そんな人生の重さに気づかされた女性を描いた映画。



自分が好きな自分でいられる時、
その人は幸せを感じ、人生は絶好調なのだろう。
それは、自信に溢れる自分。
しかし、そんな時こそ、人は過ちを犯しやすい。
なぜなら、他人への痛みに鈍感になりやすいから。
そして、意識せずに簡単に他人を傷つけてしまいがちになる。
言ってはならない暴言を吐き、
人を傷つけ、最低の行動を取ってしまう。
それが失敗と気づいても、もはや、手遅れなのだ。

自分が嫌いな自分を見つけた時、
過去に犯した失敗により、劣等感や後悔に、さいなまれる。
そして、誰かにすがりたくなる、自分の存在価値を取り戻すために。
だが、そこから立ち直ったと思っても失敗は消えて無くなりはしない。
消すことはできない。

優越感と劣等感。憂と鬱。陽と陰。
その間を激しく揺れ動き、生きてきた明日香。
明日香はクワイエットルームに入る以前から揺れ動いていたのだろう。
不眠症になり、睡眠薬を使用していた、と思ったら、
急にやる気を出して前向きになった、と思ったとたん、
元夫の死でクワイエットルームに運ばれてしまった。

そして、クワイエットルームの中では、
看護婦をやり込め、有頂天の最中に、
忘れたかった過去を他人に暴露されてしまった。
自分は本来はここにいるべきではない、と信じていたのに、
本当はここにいるべき人間であった事に気づいてしまった。
周りの人間は異常、自分だけが正常、しかし、そうではないと気づかされた。
自分が好きな自分と、受け入れがたい自分の間を激しく揺れ動く明日香。

少しだけでも心を通わせていたと信じていたミキに、
暴言を吐いてしまった時、自分が信じていた自分という人間は崩れ去り、
悲しみにうちひしがれてしまう。それでも、
人は一人で生きてゆかなければならないことに気づかされる。

人から、うざい、と言われること。
その言葉を受け入れる勇気。
相手に、本音を言ってもらう勇気。
しかし、実は他人に言われるそんな言葉が、最大の治療薬なのだろう。

うざいと言った後、泣き崩れた鉄雄にも、
実は必要な言葉なのだ。相手との対等の立場を築くために。

時に自分は、
他人に取って面白い、価値がある、魅力がある、
と思われているのかもしれない。
だが、別な時には、うっとおしい、最低、迷惑者、
と思われている時もあるのかもしれない。
それは自分の中での、自分自身の価値も同様だ。
しかし、その、いずれもが自分。
そうして、この孤独な世界を生きて行く。
そんな人生の重さに気づかされた女性を描いた映画。

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  • [2008/02/06 18:15]
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