マリー・アントワネット 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




アントワネットの生涯を描いた映画いうより、
一人の少女が背負わされた重責と疎外感から、
自己を喪失し、しかし、取り戻してゆく過程を描いた映画。
そして、自らの本当の役割を自覚するには、
彼女は幼すぎ、時代は傾きすぎていた。
時代に翻弄された、幼すぎる少女を描いた映画。

疎外感や孤独感を上手に描いた、
ソフィア・コッポラ監督らしい映画といえば、それまでですが、
しかし、もう少し監督に冒険をして欲しかったとも思える映画。





「自分の幸せは祖国とフランスの幸せ。」
すべてを捨ててフランスに嫁いだアントワネット。
人に言われるままに、祖国のすべてを捨てて、
人に言われるままに、フランスの全てを受け入れざるを得ませんでした。
しかし、それは自己を自ら捨て去ること。

ベルサイユ宮殿は馬鹿げた場所、しかし、それこそがベルサイユ。
プライバシーもなければ、
人としての品位のカケラもない陰湿な陰口が横行する場所。
そして、彼女の苦悩を理解しようとする人、本当に心を許せる人は、
いませんでした。

「皆の失望は私の不幸。」
すべての人の幸せの為に、自己を犠牲にするアントワネット。
純粋に、それが自分の幸せに繋がってゆくと信じていたのでしょう。
しかし、それは自分の力だけでは成しえない事。
そして、その不満をぶつけてはいけない事。
相手に対しても、他人に対しても。
その不満と失望を解消するための享楽的な生活。
それは、仕方のないことなのでしょう。

けれど、ついに世継ぎを生むことが出来たアントワネット。
それと同時にプチ・トリアノンに移り住みます。
それは、ベルサイユの馬鹿げた規則や決まり事から逃避し、
自分を取り戻す為。
自然な中で生き生きと暮らすアントワネット。
しかし、それが無視された貴族たちの間に不満をもたらし、
思わぬ政敵を作っていきます。

フランス革命が起こったのは、
そして、王国の財政が傾いたのは、アントワネットの浪費の為?
それは違うのでしょう。
国民を救うため、ダイヤの購入を止めるアントワネット。
しかし、度重なる戦争と、アメリカ支援のための支出に、傾いてゆく国庫。
けれど、政敵たちは、すべてをアントワネットのせいにしてしまいます。
流される流言蜚語。
ですが、アントワネットは、それを無視してしまいます。
しかし、最後にアントワネットは気づきます。
以前は、自分がオペラを鑑賞して拍手をすれば、皆が拍手をしてくれた。
しかし、今は、誰も自分に従わない。
アントワネットはいつの間にか、見限られてしまっていたのでした。

ついに始まったフランス革命。
大勢の群集の前で頭を下げるアントワネット。
王妃として、この人々のために、本当は何をしなければならなかったのか?
しかし、すべては遅すぎました。
フランス王国を守るためには、
アントワネットは幼すぎ、時代は傾きすぎていました。
時代に翻弄された、幼すぎる少女を描いた映画。

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