オリヲン座からの招待状 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




原作は未読です。

数々の美しいシーンの断片。
それは見事なまでに美しい。
しかし、映画全体としてはまとまりに欠けている。
だから、美しいシーン、美しい雰囲気を持っていても、
美しさの実体が見えにくい。
美しい映画、しかし、非常に残念な映画。



数々の美しいシーンの断片。
昭和30年代の街並みや風景。映画館のたたずまい。
映画館を支えている、松蔵さんの映画に対する深い愛情と情熱。
豊田夫妻のお互いに対する愛情。
夫が亡くなった後、いつもは夫が削る鰹節を、
自らが削らなければならなくなった。
さめざめと泣くトヨを、そっと見守る留吉。
留吉の暴れダイコを8ミリに写すトヨ。
そして、トヨと留吉の子供に対する愛情。
傾きかけた映画館を必至に支える様。
けがをしたトヨを留吉が自転車で運ぶシーンの微笑ましさ。
そして、最後の上映、最後の挨拶、最後の告白。
宮沢りえさんの見事な演技。
加瀬亮さんも宇崎竜童さんも憎いほどに、雰囲気を出していました。


しかし、私にとっては、どうもまとまりに欠けた映画のように感じました。

それは、プラトニックな関係(?)の二人、留吉とトヨを、
どのように描いたらよいのか、二人の何が美しいのか、
映画として、製作者サイドが十分に煮詰めてはいなかったから、
なのではないのかと感じました。

青年時代はトヨの事を姉さんと呼んでいた留吉。
皆に後ろ指さされようとも必至にトヨを守ってきました。
しかし、現代においては公衆の面前でトヨの事を、
「連れ合い」と呼んでいます。
まあ、いつまでも姉さんと呼ぶわけにもいかないのは分かりますが、
呼び方を変えた心境の変化がよく伝わってきません。

良枝ちゃんに「トヨさんと留吉さんはお母さんとお父さんのようだ。」
と言われて、ギクリとしたけどうれしかったという留吉。
なぜ、うれしいのか? 留吉はそうなりたかったのか?
そう、理解されたかったのか?

トヨは松蔵のベレー帽を留吉には似合わないと考えているようです。
写真も隠してしまいますし、「似合わない」と直接言っています。
しかし、それは留吉に松蔵のベレー帽を被ってほしくはなかった、
という微妙な女心の表れなのではないのでしょうか?
しかし、最後の上映に登場する松蔵のベレー帽。
この二人は、最後には松蔵の事をどのように考えていたのでしょうか?

最後に愛を告白する留吉。
ということは、やはり、二人は結婚していなかった?
しかし、連れ合いと呼んでいた留吉。
映画館を守るため、偽装結婚していたということ?

留吉が閉館に際して挨拶として発した言葉。
「閉館に際し、映画人のハシクレとして恥ずかしい、、、」
でも、留吉やトヨが懸命に映画館を支えてきたことを考えると、
ここまで続けられたことに満足し、
もっと幸せな挨拶で締めくくって欲しかった。
年を取った彼らは、自分自身に、
これ以上何を望んでいるのでしょうか?


私がよくわからなかっただけかもしれません。しかし、
美しいシーン、美しい雰囲気を持っていても、
美しさの実体が見えにくい映画。
美しい映画、しかし、非常に残念な映画。

コメント

残念な映画

お、明るいお月さんが輝く夜モードになりましたね(笑)
なかなか雰囲気があっていいです。

で、「オリヲン座からの招待状」。
確かに残念な映画でした。
ヤンさんも書いてらっしゃる“さめざめと泣くトヨを留吉がそっと見守る”シーン。
俺もね、このあたりまでは凄く良かったのですよ。
淡々と進む映像が俺好みで、前半だけなら5つ星なんです(笑)
このままこの調子で続いてくれれば記憶に残る作品になるなぁ、と思いながら
観てたんですが・・・後半、失速してしまいました(泣)
そうなんですよね、後半の2人の描かれ方がいまひとつしっくりこなかったですよね。
まぁ、それでも前半が印象に残ったので、去年のベスト10に入れましたが・・・。

2月に入ってからスウェーデンですか? 御苦労様です。
“長蛇の列”というのを見て、昔、子供の頃に行った大阪万博を思い出しました。
どこもかしこもホントに物凄い長蛇の列だったので、雰囲気だけを味わって帰った
記憶があります(泣)
長蛇の列をものともしないスウェーデン人、なかなか根性がありますね(笑)
それとも単に暇なだけなんでしょうか?(笑)

タケヤンさん、こんばんわ。
遅レスですいません。

 たしか、2,3日前にレス書いたつもりでしたが、なぜか消されてました。不思議です。

 プログは、お手軽にデザインを変えることが出来るので、ものぐさな私にはとっても便利です。デザインのテンプレートを提供してくださる方々に感謝です。

 この前、TV見てたら、閉館するどこかの映画館の最終上演作品に「オリヲン座からの招待状」が選ばれたそうです。なかなかの選択です。宮沢りえさんや加瀬さんも招待されたそうで、挨拶の席上、宮沢さんの心に残る映画が、「ローマの休日」だそうで、「これほど、美しい世界があったのか、と感動した」そうです。なんだか、うれしくなりました。
 本当に中盤まではすばらしい映画でした。宮沢さんは本当によい役者になりました。加瀬さんもすばらしかったのですが、宇崎さんのすばらしさにはビックリでした。ただ、残念なことに途中で失速してしまいましたね。もうちょっと脚本を考えないといけないかもしれませんが、宮沢さんと加瀬さんが演じる現代のパートも見てみたいきもします。

 実は、私も万博に行きましたよ。すさまじい混み具合だったのをかすかに覚えてます。結局2日で2会場しか入れなかったことと、月の石を見るのに4時間待ちの行列に並ばなければならなず、あきらめたのをかすかに覚えてます。まあ、スウェーデンの冬には、娯楽が極端にすくないので、長蛇の列も仕方ないのかもしれませんが、、、

それじゃ、また。

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