戦場のアリア  
2008.02.28.Thu / 21:31 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




同じことに感動し、同じことに心を痛めた。
同じことに嫌気がさし、同じ事を楽しんだ。
そして分かった。敵と思っていた人々も同じ人間。
悪魔などではない、同じ感情を持った人間であることを。
そんなことがわかった時、
見知らぬはずだった人々は良き隣人となり、
もはや、殺す対象としては考えることができなくなってしまった。
この映画では、それらが丁寧に、そして説得力をもって語られる。
しかし、それでも国は、相手を殺すことを強制する。それは、宗教でさえも。
戦争というものの、救いがたさ、
しかし、人は変わることができるということが印象的な映画。



映画の冒頭。国と宗教に洗脳されてしまった少年たちの独白。
それは国と学校、宗教による洗脳の結果なのだろう。
「戦争が始まった。俺たちの人生が開けた。」
そんな言葉を発して、率先して戦争に志願する兄弟。
これも洗脳の結果なのだろう。

最初はきっと厭戦気分からだったのだろう。
クリスマスにも家族には会えず、心も休まらない。
しかし、戦場にもたらされたクリスマス。
楽しげなバグパイプの音色、美しいテノールの歌声が、
一日限りの停戦をもたらした。

誰もが停戦を相手の罠だとは考えず、素直に信じることが出来た奇跡。
同じ過酷な境遇に耐えている人々とはいえ、
それまで殺し合ってきた相手を信じることができるのだ。
最初は相手を敵とみなし、皆殺しにすることしか考えていなかった。
しかし、人は変わることができるのだろう。
戦場でのクリスマスの清々しさ、荘厳さが、
見事に、理解し合えた人々の喜びと奇跡を表現している。


兄を殺されたジョナサンは、しかし、
憎しみを最後まで捨てることはできなかった。
彼もまた、戦争の悲しい犠牲者なのだろう。
そして、彼が撃った銃弾は、さらなる悲劇を生んでしまった。



お互い理解してしまえば、もはや殺し合いなどできるはずもない。
大義のための戦争よりは、理解できた相手の為に、
味方であるはずの爆撃から、お互いを助け合う人々。
しかし、国は、それを許さない。
宗教も、それを許さない。
そして、理解し合えた人々の、その後の過酷な境遇。

誰だって、殺し合いよりは楽しく共存することを望むのだろう。
知らない相手に怯えながら暮らすより、相手を理解することを望むだろう。
そんな人間の共通願望。
人々の間には、多少の差異はあるのだろうけれど、
その差異を埋めて、人々は理解し合うことができるのだ。
しかし、大義のために憎しみを洗脳し、殺し合いを強要する国と宗教。
戦争というものの、救いがたさ、
しかし、人は変わることができるということが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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