秒速5センチメートル  
2008.03.28.Fri / 17:32 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




予想外の出来事に、ただ、うろたえ、
ただ、時を耐えて待つしかできなかった少年時代。
大切な人を守る事もできず、
ただ、戸惑うしか術を知らなかった、あの頃。
強くなりたい。
小さな地球を飛び出し、無限のかなたを目指す為、
心細さに一人耐えている、あの宇宙ロケットのように。
しかし、いつしか、守りたいと思っていた人は自分の元から去り、
強く成りたいと思う気持は空回りして、失なわれてゆく。
何故強く成りたいと欲したのか。
少年が思い描いている世界と現実との大きな隔たり。
世界は自分が思う以上に大きくて、
彼女は自分の支え無しでも生きている。
むしろ、思い込みを捨てて、
世界をありのままに受け入れ、
一人の女性を対等な人間として付き合う時期に、
青年はさしかかってきたのだろう。
届かない想いに挫折した切なさを描いた映画。
そして細部まで描きこまれた画面が美しい映画。




大切な人を守る事ができなかった。
貴樹に取って、それはトラウマにも似た想い。
いつまでも一緒に居られると思っていた。
しかし、明里の転校が決まった時、
悲しみにくれ、ただ明里を突っぱねるしかできなかった。

会おうと手紙を出した、約束の日。
しかし、豪雪の為に遅れる電車。
多分、それでも明里は待っていてくれるだろう。
寒さと心細さに一人耐えながら。
そんな明里に何もしてあげる事ができない無力な自分。
こんなアクシデントは思いもしなかった。
なんて自分は無力なんだろう。
どうか、帰ってくれていて欲しい。
しかし、そして、やはり、明里は其処にいた。
ただ貴樹のコートの袖を掴み泣き続ける明里。

桜の木の下での初めてのキス。
無防備にも自分に体を預けてくる明里。
それは素晴らしい体験ではあるものの、
明里をどのように支え、守ってやればよいのか、
無力な自分に途方にくれる貴樹。

別れ際。強くなりたいと願う貴樹。
それは明里を守る為に。
しかし、貴樹君なら大丈夫、そう言って、
明里も貴樹を支えようとしていた事には気付かなかった貴樹。


遠距離恋愛の心細さ。
しかし、あの日の誓いを果たす為、一人遠くを目指す貴樹。
明里の心が離れつつあることも、
側に自分に想いを寄せる少女が居ることも、
気付いていない。
多分気付かないふりをしていたのだろう。
それは強くなるために。


都会に出て就職し、しかし、昔の想いを失ってしまった貴樹。
強く想い続けていた。しかし、強く思えば思うほどに、
自分が思い描いていた世界と現実は離れてゆく。
貴樹は明里を想い続けたわけではないのだろう。
あの時をやり直したい。
そんな後悔が貴樹を支えていたのだろう。
しかしやり直すことは出来はしない。
そして永久にその機会は失ってしまった事を、
認識せざるを得ない現実。
何処を目指して飛べばいいのだろうか。

しかし、実は、迷っていても構わない。
先ずは自分に出来る事から少しづつ。
それは花苗の言葉なのだけれど、
今の貴樹にぴったりの言葉なのだろう。
なにかをふっ切ったような貴樹の最後の笑顔が印象的。

届かない想いに挫折し、しかし、
迷ったその場所から、新しい出発を始める。
そんな切なさを描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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