天使の卵 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




人は暗い絶望の中にいても、なにかのきっかけで、
明日に生きる為の希望を見出すことができる。
多分、そんな瞬間を描きたかった映画かもしれない。
しかし、それ以上に印象に残ったのは、
恋愛とは時として、とても残酷であるということ。
傷つく人がいると知っていても、
愛した人への想いを止められない。
それ故に、自己の幸せのみを追求してしまう。
たとえ、他人が不幸になろうとも。
しかし、人は知らないところで他人を救っている。
そして、救われている。
私にとっては、そんな事の方が印象的な映画。


美大を目指す浪人生、一本槍歩太。
本当ならば入院している父に代わり、
一家を支えなければならないと考えている青年だ。
しかし、自分の夢を止めることができない。
歩太は、そんな葛藤に悩んでいる。
夏姫との付き合いも、自分の想いよりは、
相手に合わせての付き合いなのだろう。
彼は、自分の幸せよりは周りの事を考えてしまいがちな青年なのだろう。

しかし、ふとしたきっかけで恋に落ちる歩太。
だが、それは逆風が吹きまくる一目惚れ。
けれど、春妃先生の言葉、
「人生には、自分のことだけ考えてもいい時期がある。」
そんな言葉に背を押される歩太。
母親が他人の恋人になるのは嫌なはずなのに、
夏姫を振ってまで、自分の恋愛は成就させようとする。
そして、妹の恋人だった人に、最後には想いを寄せてしまう春姫。
愛した人への想いは止められないのだろう。

父が自殺してしまった。
きっと、誰かが悪いわけではないのだろう。
しかし、重い責任感から、再び生きる希望を失う春妃。
それを助けたのは歩太。
逆に、歩太の今を肯定することで、歩太を春姫は助けていたのだ。

そして、春姫の死で人生の歩みを止めていた歩太を助けたのは夏姫。
しかし、夏姫も春姫の絵を見ることで、人生を再び歩み始めるのだろう。

市原隼人さんが純情かつ、まっすぐな歩太を、
小西真奈美さんが聡明で透明、しかし芯が強そうな春姫を、
沢尻エリカさんが快活で、しかし、繊細で傷つきやすい夏姫を、
三者三様にすばらしく演じていました。しかし、
ストーリーが必要以上に複雑かつご都合主義的で、
その点が残念な映画。

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