夜のピクニック  
2008.04.25.Fri / 22:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




親友にも打ち明けることができない秘密を抱えた少女。
歩行祭の夜という特別な夜に、賭けをする。
しかし、無情にも時間は過ぎ去り、
なにもできないままに、すでにゴールは、もう間近。
しかし、少女を助けたのは彼女を取り巻く友人たち。
そして、幸せな出発点にゴールできた二人。
特別な夜と友人、このどちらかが欠けても、
きっと、このゴールにはたどり着けなかったのだろう。
特別な夜に、奇跡をもたらした友情を描いた映画。



ただ歩くだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう。
24時間かけて80キロを、ただひたすら歩き続ける歩行祭。
単に並んで歩くだけの夜なのに、それは、特別な時間。
さまざまな人のさまざまな想いが交差する夜。
時間が過ぎてゆくのが、実感として分かる。
だからこそ、今を大切に生きたい、と感じることができる。
なぜなら、今という時は二度と戻ってはこない。
今見ている風景も、時が少しでも経てば変化し、
そして自分が成長すれば、その風景を受け止める心も、変わってゆく。
同じ風景を同じ気持ちで見ることは、不可能だということを、
この夜は実感を伴って教えてくれる。
そして、失われてゆくのは、何かを行うとするキッカケも同様だ。

同じクラスに、異母兄弟をもつ貴子。
しかし、それは親友にすら打ち明けられない彼女の秘密。
そして、相手である西脇にも、わだかまりを持ち、無視してしまう。
本当は、話をしてみたかった。
しかし、二人の知らない所で築かれた人間関係が、
二人の関係までをも複雑にしてしまう。


歩行祭の夜に賭けをする貴子。
しかし無情にも過ぎてゆく時間。
そして似た者同士の意地の張り合い。
けれど、そんな貴子の賭けを後押ししたのは、
実は事情を知っていた友達。
貴子の心を和らげる美和。
密かに、おまじないを掛けていた安奈。

「甲田親子に嫉妬していたんだと思う。かっこよくて。凛としてて」
そんな本音を交わす兄妹。それはとても幸せな光景。
「損した。もっと青春しとくんだった。」
それは、もっと早めに話をすれば良かったという後悔や、
もっと素直になれば良かったという反省も含まれているのだろう。
しかし、
「今、してるじゃん。これってすごく青春ぽくない?」
「腹違いの兄弟。チョーメロドラマ。」
「青春じゃん。」
遠回りこそが、青春なのだろう。

「もう一生こんなとこに座って、
 こんなアングルで、こんな景色ながめることないんだな。」
「俺が一番悔しいのは、このことを杏奈の弟の口から聞いたことだ。」
そんなクサいセリフを交わすことができるのも青春。
道に落書きをする男の子たち。
動物のマスクを被る兄弟。
お守りを交換するカップル。
もうすぐ終わりだね、と大変な裏方を黙々とこなす実行委員。
皆が自分のやり方で、青春を過ごす。
自分自身の歩行祭を楽しんでいる。
そんな、幸せで懐かしくもある光景が詰まっている。
ただ、悪ノリしすぎなギャグがちょっと残念。

ゴール間近の最後の坂道で、
「さあ、最後の青春するか。」
「よし、青春するぞ」と声を揃える兄妹。
「何、息合わせてんだよ。ムカつくこの兄妹」と茶化す忍。
さっきまでは反目していたのに、
この息の合わせ方は、やはり似たもの兄弟なのだろう。
そして、そんな兄妹が、
やっと話ができたという安堵感が言わせたセリフなのだろう。

皆のゴールを見つめる校長先生のすべてを包み込むような暖かな笑顔。
そして、美和リンに「ありがとうネ。」
それは、長い悩みが解決した、とても幸せな光景。
特別な夜と友人、このどちらかが欠けても、
きっと、この幸せな出発点にはたどり着けなかったのだろう。
特別な夜に、奇跡をもたらした友情を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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