君のためなら千回でも 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




自分が思い描いた理想の人間になりたい。
しかし、人は弱い生き物。
理想どおりに生きられない自分を許し、
妥協してしまう自分がいる。
しかし、自らの理想のため、
強く自分の恐怖に立ち向かう人もいる。
自らの弱さに妥協していた少年が、
大人になった時、過去の過ちを償うため、
自分の弱さを克服する。
そんな勇気は人から人へと伝わってゆくのだろう。
人から人へと伝わってゆく勇気を描いた映画。


友を守る為、
心の中にある友情や信義の為、
そして自らの信条を守る為、
とても大きな勇気が必要な時がある。
自らの肉体に対する苦痛や命の危険をも覚悟して。

そんな勇気を父親から諭されるアミール。
しかし、アミールは、自らの弱さに妥協している。
自らの欲望の為に愛する妻を殺す話を書いたアミール。
それは、欲望に対する人間の限界と卑屈さを表しているのだろう。
人は欲望には勝てない。そんな限界を人は持っている。
そうやって、アミールは自らの臆病さを許しているのだろう。

アミールの為に苦痛に耐えた少年、ハッサン。
彼はアミールにとって、自らが成しえなかった理想を実現した少年。
そして、自分は彼を助けなかった。
そんな負い目と嫉妬、精神的な苦痛。
アミールは、ハッサンを自分の家から追い出してしまう。

大切な者を守る為の勇気。自らの理想を実現するための勇気。
例え、それが肉体苦痛を伴うとしても、それは一時的な痛み。
精神的な後悔は一生続く。

ハッサンの息子を助けるため、死地に赴く大人になったアミール。
大人になった彼は、最後まで逃げなかった。諦めなかった。
そして、最後までやり通した。
彼は、自分が成なりたかった自分に成ることができたのだろう。
そして、最後のセリフ、「君のためなら千回でも。」
それはハッサンと同じ勇気を持てたからこそ、いえるセリフなのだろう。

しかし、戦争という圧倒的な暴力の前では、個人の力は限られている。
自らの命を捧げても報われない時もある。
だが、偶然に助けられる時も、また、ある。
父親やアミールは偶然に助けられ、
しかし、ハッサンは死んでしまう。
だが、決して無駄死にではないのだ。

自分が理想とする自分に成りたい。
そんな高貴な精神と勇気は、
父親から弟へ、そして兄へ受け継がれ、
いつの日か、その息子へと受け継がれて行くのだろう。
だから、けっして無駄死にではない。
人から人へと伝わってゆく勇気を描いた映画。

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