あの空をおぼえてる 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




子供は親が思う以上に思慮深く、たくましい。
親は自分が思う以上に脆くて弱く、失った者に心を捕われ、
自らを責め、周りに想いがいたらない。
だが守るべき存在に気付いた時、
人は人生の様々な障害を乗り越える勇気が湧いてくる。

描かれている題材はとても美しい。
しかし、私にだけかもしれないが、とても残念な映画でした。
いろいろな事が詰め込んであり、それらが上手に流れてはいない。
そんな印象をもちました。


最愛の娘を失った家族。
両親は共にその大きな心の穴を埋められないでいる。
息子である英治が妹を思い出すシーンが、いい。
ともすれと、はしゃぎすぎでウザく見える吉田里琴さんの演技ではあるが、
死んでしまった故人を思い返すのは、得てしてそんな姿なのだろうし、
娘が如何に家族のムードメーカーであったのかが、良く判る。
そして、こんなにも騒がしくて愛くるしい存在が失われた時の喪失感も。

父親は自らを責める。
あの時、自分が送っていれば、と。
全てを自分が背負い、自分を責めている。
厳しい見方をすれば、安易な方向に逃げているように見える。

妹の代わりを懸命に努めようとする息子。
しかし、心に穴が空いた両親にとっては、ウザいだけ。
誰にも妹の代わりは、できはしないし、
忘れたい思い出を蒸し返すだけの行為にしか写らない。
両親にとっては無神経にも傷ついた心を逆撫でするだけなの行為なのだろう。

なぜ、英治が健気にも絵里奈の代わりを努めようとしたのか?
それは、徐々に明かされてゆく。
しかし、その心情が最初では明かされていないので、
妹が死んでしまったにも関わらず明るく振る舞う兄に、
とても不自然な印象を持つ。
観客に不自然な印象による疑問を持たせることが、
制作サイドの意図かもしれないが効果的とは思えない。

人が死ぬとは、どういうことなのか。
カウンセラーに問いかける英治。
死んだ人間には二度とは会えないのか、と。
しかし、妹は心の中では生きている。
だから、再び会うことも有るかもしれない。
そんな答えも、その後の展開に生かされていないのが残念。

息子が家出し、
息子の手紙を読んで、息子が抱えていた寂しさを理解する両親。
やっと見つけた息子に謝る父親。
「全部、父さんが悪かったと。」
確かにその通りではあるが、次の瞬間、
あの時、二人だけで行かせてしったことを謝る父親。
はたして父親の何が悪かったのか。
息子の寂しさを理解せず、逃げていたことが悪かったのではないのか?
手紙を読んで理解したこととは、いったいなんだったのか?
何も理解していない父親に、何だか寂しくなる。

息子は最後には、父親から聞いたセリフを告げる。
「生き帰ってくれてありがとう」、と告げる父親。
しかし、冒頭、健気にも妹の代わりを努めようとし、更には、
暗いトンネルに勇気を振り絞って入っていった息子の心情までをも
父親には理解して欲しかった。

お腹の子供の為に立ち直ろうとする母親。
それを黙って見守り続けた母親の友人。
幽霊トンネルに尻込みしていたはずの英治の友人。
しかし、英治を捜索するために自ら先頭を歩く。
サイドストーリーの方が印象的だった、不思議な映画。

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