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  スルース  
2008.05.22.Thu / 22:24 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




男のプライドと意地を掛けて、相手との勝負に臨む男二人。
息苦しいほどに、ピリピリとした緊張感。
しかし、勝負の途中、いつしか相手を本能的に理解し、
相手に特別な感情を持ってしまう男たち。
果たして勝負はいったいどちらが勝ったのか?
密室にも似た場所で繰り広げられた男たちの勝負を描いた映画。


妻を寝取られた作家、アンドリュー・ワイク。
ワイクから妻を奪った男、ティンドル。
男の意地とプライドを掛けてお互いを騙し合う二人。

最初の勝負はワイクの勝ち。
しかし、ティンドルは勝負が始まったことを知らされてない。
かなりアンフェアな勝負ではあるが、
ティンドルは見事に騙され、自分の恥をさらしてしまう。
次の勝負はティンドルの勝ち。
これも同様に、ワイクは騙し打ちに近い形で、
勝負を決められてしまう。

イーブンとなった二人の勝負。
この勝敗は、騙された方が負けというわけではないのだろう。
騙された結果、恥をさらした方が負けなのだ。

この2回の勝負により、お互いを本能的に理解する二人。
それは、騙しのテクニックから。その知的センスによって。
そして、お互いにさらしてしまった自分の情けない姿によっても。
無防備にも相手に自分の全てをさらし、相手に自分の命を握られ、
情けなくも、相手のご機嫌をうかがい、命乞いをする。
そんな恥ずかしい姿をお互いに見せてしまった二人。
さらには、二人は、お互いに相手にホモセクシュアルの嗜好があることも、
感ずいてしまう。

そして、最後の勝負。
妻のことなど忘れて二人で暮らそうと持ちかけるワイク。
冷静に考えれば、これは明らかに罠だ。
けれど、これが本気の提案のようにも見えるのは、
お互いがお互いを理解し、認め合っているようにも見えるからだ。
しかし、ワイクにウィスキーを用意させようとするティンドル。
それは、ワイクの提案が本気のなのか、罠なのか、見極めるためのようにも見えるし、
今後の生活に対する主導権を握りたいという気持ちもあるのかもしれない。
そして、遂にウィスキーを用意してしまったワイク。
譲るが勝ちなのか、本心でともに生活をしたいのか、
だが、ここで、勝負の主導権はティンドルが握ったようにも見える。
さらに、寝室に案内するように迫るティンドル。

すべて相手の言うなりに従ったワイク。
しかし、最後にティンドルはワイクの全てを否定し、拒否してしまう。
そんなティンドルを射殺するワイク。

果たして、この勝負はどちらが勝ったのか?
勝負などはすでに関係はなく、二人の男の愛憎劇のようにも見える。
生き残ったのは確かにワイクではあるものの、
これは、すべてをさらけ出され、挙句に拒否され、
立ち去られることに、憎しみや怒り、寂しさといった感情が、
入り混じった結果なのだろう。
そういう意味では、ワイクの心を奪い、しかし、
死んでしまったティンドルが勝者なのかもしれない。

密室にも似た場所で繰り広げられた男たちの愛憎劇を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.590 / タイトル さ行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

2人の俳優の愛憎劇は緊迫感が漂って見応えがありましたね。
たった2人の密室での映画とは、変わった趣向でした。

どこまでがゲームでどこからが本気なのか
私にはよく分からなくて、
ひょっとしたら、最初から全部ゲームだったのかな?
と思いました。
この映画にあるのが初めてのゲームじゃなく、
前から作家の趣味でやっていたのかな?と。
それがオチのような気がしました。

そんな説を取っている人は誰もいませんが(^_^;

2009.11.12.Thu / 18:05 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

ふむふむ、なかなか面白い解釈ですね。
最初から全てが芝居で、
そんな芝居に耐えられなくなったのか、
馬鹿馬鹿しくなってしまったのか、
最後にティンドルが切れて、逆に殺されてしまうという展開なのでしょうか?
設定自身は明確な部分と不明確な部分が入り混じっていて、確かに「よく分からない映画」であり、どんな風にでも解釈は可能な映画かも知れませんね。

二人の演技が素晴らしいのだけれど、
もう少し違った映画での競演も見てみたい気がしました。

 それじゃ、また。

2009.11.15.Sun / 11:34 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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豪華俳優二人の競演。 特に魅惑的なジュード・ロウがいいです★ 久々に濃いジュード・ロウを見たなあ。 監督:ケネス・ブラナー 製作:...
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