嫌われ松子の一生  
2008.08.28.Thu / 22:00 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




求めても得られないと勘違いしていた父親からの愛情。
受け入れなければと理解していたのに拒絶してしまった妹からの愛情。
そんな家族の愛を求めて、
自分を幸せにしてくれるであろう男たちに無償の愛を注ぐ女性、松子。
けれど、彼らは家族の代わりにはならない。
たくさんの男たちに裏切られ、捨てられた、しかし、
松子は最後には拒絶していた愛情を受け入れ幸せになったのだろう。
求めても得られない愛情を精一杯求めて生きた女性を描いた映画。


一見すると、とても不幸な女性、松子。
その直接的なきっかけは修学旅行での出来事。
しかし、本当の原因は家族の愛情にあったのだろう。
求めても得られないと勘違いしていた父親からの愛情。
受け入れなければと理解していたのに拒絶してしまった妹からの愛情。
父親が自分を愛してくれていたことを知った時は、すでに手遅れ。
父親の愛情を確かめることもできず、応えることもできず、
それは永遠に失われてしまった。
そこから松子の不幸は始まる。
この映画はとても長く感じられ、実際2時間以上ととても長い。
コテコテな飾りがそれに輪をかけて長く感じさせるが、
それ以上に長く感じる要因は、
似たようなシーンを何度も反復させる手法にあるように思える。
しかし、当然ではあるが、その反復にも意味がある。
求めても求めても得られないものが松子にはあるということなのだろう。

「なんでーー。」
男たちに無償の愛情を注ぎ、そのたびに裏切られる松子。
無償の愛情を注いだ理由は、
目の前の男性を愛したからというよりは、
実は家族の、とりわけ、父親の愛情を求めていたからだろう。
そのたびに裏切られる松子。
裏切りには様々な理由がある。
一つには、男たちが実は松子を利用するためだけに近づいたから。
しかし、一方で愛情の不釣合いに男たちが苦しだからであろう。
松子が注いでくれる愛情に比べ、
自分はどれだけ彼女を幸せにしているのか?
そんな不釣合いに苦しんだからであろう。
それは、実は松子も同様だ。
自分を愛してくれていた妹。
しかし、その愛情は、松子にとってはとても重いものなのだ。

「この瞬間、自分の人生は終わったと感じた。」
しかし、松子の人生は続いてい行く。
それは、心とは裏腹に体が生きることを望んだ結果だ。
けれど、私には、松子が自分の人生の答えを見つけていないから、と思えた。
求めても得られなかった父親からの愛情。
それを見つけるまでは、松子は死ねないのだ。

失ってみて初めて分かる、その大切さ。
松子からの無償の愛情を拒絶し、遠ざかって行った龍洋一。
しかし、松子から離れてみて、その大切さを知ることになる。
いつまでも、おかえり、と自分を待ってくれているものと思っていた妹。
しかし、妹も帰らぬ人となる。
帰らぬ人となって、初めて松子は、
妹の愛情を受け入れることができるようになったのだろう。
しかし、無残にも殺されてしまう松子。

松子の一生とは、家族の愛を拒絶した松子が、
無意識のうちに、家族の愛を求め、家族に許しを請い、
男たちの間を懸命に生きてきた人生のように私には感じる。
一見するととても不幸な人生。
しかし、それでも幸せな人生。
なぜなら、不器用にも一途に、懸命に生きて、愛したから。

死んだ松子を、おかえりと迎えたのは、妹。
最後に松子は、無償の愛を受け入れ、救われたのだろう。
求めても得られない愛情を精一杯求めて生きた女性を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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