2008.09.04.Thu / 21:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




なぜ人々はこんなにも彼女の歌声に魅了されるのか?
なぜ彼女は倒れても歌うことを止めなかったのか?
エディット・ピアフの生涯を描いたというよりは、
ピアフの歌へ注いだ情熱を描いた映画。

この映画では、ピアフの生涯すべてを描いておらず、
また、時系列もバラバラだ。
ピアフの4つの代表作に関連するピアフのエピソードを紡いでいるのだろう。
「ミロール」でピアフの有名になるまでの生い立ちを。
「バラ色の人生」でピアフの幸せの絶頂を。
「愛の賛歌」で絶頂であった幸せの終焉を。
そして、「水に流して」で、ピアフがたどり着いた人生の境地を、
それぞれ紡いでいるように感じた。
ピアフの幼少時代。
それは不幸のように見えて幸福だった時代なのかもしれない。
母親の如く愛情を注いでくれた娼婦たちと過ごした日々。
貧しいながらも父親と過ごした日々。
それは社会の底辺に生きる大人たちの喜怒哀楽を見つめ続けた日々。
そして愛情の素晴らしさを教えてくれた日々なのだろう。
「ミロール」は、そんな歌のような印象をもつ。
そして、ピアフが深い愛情と慈愛を持った女性であったのは、
ティティーヌの愛情と聖テレーズへの信仰のおかげなのだろう。


愛することと愛されることの素晴らしさを知る女性、ピアフ。
そんな彼女の目の前に現れた運命の男、マルセル。
彼と巡り合えた喜び、そして共に人生を生きる喜び。
「バラ色の人生」は、愛する人とともに生きる女性の歌。
この映画では、両方を重ねて描いている。


しかし、マルセルは妻子持ち。そして、アメリカの男。
思うに任せることができない恋愛。
そんな寂しさの中、マルセルは永久に戻らない人となる。
自分が如何に彼を愛していたのか。
如何に彼が自分を愛してくれていたのか。
死を持ってしても、二人の愛は別つことはできない。
それほどに深い愛。
マルセルは亡くなってしまった。しかし、この歌を歌うことで、
マルセルの存在を深く感じることができる。
ピアフが「愛の賛歌」に込めた想いは、
彼女の生きる力になったのかもしれない。


「これこそ、私が待ち望んでた歌よ。」
ついに自らの歌にめぐり合うピアフ。

父親に買ってもらった人形。
小さい頃に失った娘、マルセル。
過去の悲しみ、そして喜び。
自分の人生を過ぎ去った様々な人々、様々なできごと。
しかし、過去は過去。
懐かしくても、もう昔には戻れない。

舞台で歌う重圧に耐えるには相当なエネルギーが必要なのだろう。
それを十字架の力を借りて乗り越えるピアフ。
そして、それ以上にピアフの歌は彼女の祈り。
だからこそ、十字架が必要なのだろう。

インタビューに答えて、
さまざまな人々に「愛しなさい」とアドバイスを送るピアフ。
歌うことが自らの愛情を表現すること。
そして、それはピアフにとっては息をするのと同じ行為。
歌わなければ死んでしまうのだろう。
薬とアルコールで体は、もはやボロボロ。
しかし、倒れても倒れても立ちあがり歌いつづけるピアフ。

過去は振り返らない。何一つ後悔はしない。
それは、過去を捨て去る強さ。
ゼロからやり直そう。私の喜びは今日から始まる。
それは、人生を再び始める強さ。
彼女の歌の素晴らしさは、
彼女の力強い人生が歌に息づいているから。
彼女の歌は、彼女自身。
まさに生きている。
ピアフの歌へ注いだ情熱を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.622 / タイトル あ行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.