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  ネバーランド  
2008.09.12.Fri / 21:44 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




ネバ-ランド。
それは、大人になりたくない人間の隠れ家なのか?
避けては通れない痛みや悲しみ。
それら厳しい現実から逃避したい人の逃げ場所なのか?
そして、大人に成るということは、
他人の言うことを嘘と拒絶し、
どんな痛みにも耐えられる強さを持つことなのか?
それは違うのだろう。
現実の世界に存在する想い。
それは確かに人には見ることができない。
存在を証明することはできない。
しかし、想像力の力で、それは見つけることができる。
ネバーランドも、目には見えないかもしれないが、
想像力で見つけることができる、この世の中にある場所なのだ。
ピーターパンという物語の誕生を描いた映画。


約束を守ってくれなかった父親。
自らの病気を隠している母親。
大人の世界は嘘に満ちている。
そして、避けられない悲しみや痛みにも、満ち満ちている。
大人の嘘を拒絶し、痛みにも耐えられる強い心を持とう。
ピーターは無理に大人になろうとしている少年だ。
そんなピーターに想像力の力を諭すジェームス。
ここでの想像力とは、
存在しないものを存在するかのように感じる力ではない。
見えないけれど、確かに存在するものを見つける力だ。
父親は、嘘をつきたかったわけではない。
息子を愛しているから約束をしたのだ。
結果として叶えられなかった約束となってしまっても、
父親の息子への愛情は本物だ。
母親だって同様だ。息子に心配をかけさせたくはない。
その愛情も紛れも無く本物だ。


大人に成ること。
それは世の中に絶望することではない。
今まで自分は守られてきた。愛情を注がれてきた。
しかし、今からは違う。
今まで守ってもらってきた者を今からは自分が守る。
そんな意識に目覚めた時、少年は大人になるのだろう。

「お母さんが見える。」
母親は死んでしまった。
なぜ、お母さんは死んでしまったのか?
いつでも、いつまでも傍にいてくれると思っていた。
しかし母親は死んでしまった。
その理由は誰にもわからない。受け入れるしかない。
しかし、母親が注いでくれた愛情は本物だ。
信じる力で、それを感じることができる。
たとえ、母親が死んでしまったとしても。

ピーターパンという物語の誕生を描いた映画。


だた、、、
美しい映画ではあるりますが、
私にとっては居心地の悪い映画でもあります。

ジェームスの妻であるメアリー。
彼女は、最初はネバーランドという世界を誤解していたのでしょう、
才能溢れる素晴らしい世界であり、社交界のようなきらびやかな世界、というように。
しかし、ピーターパンの物語を通じて本当のネバーランドを知ることになります。
けれど、時すでに遅く二人の関係は終わりを告げてしまいます。
二人の中は冷め切っていたとはいえ、
メアリーはまだ、ジェームスを愛しているようにも見えました。
しかし、寂しさを抱えるメアリーに歩み寄らないジェームス。
そして良からぬ噂が立とうとも、シルビアと息子たちの元に居座りつづけます。
想像力によっても避けられなかった別れ。
これは仕方の無いことなのでしょうか?
そのあたりがちょっと残念。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.623 / タイトル な行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
この作品も、ヤンさんと残念な点が同じです。

「ネバーランド」自体の解釈は、
ヤンさんがステキな言葉で綴っていて、
私もさらに理解を深める事ができました。

でも、それを生み出したジェームスは、
理想ばかり高くて、現実の生活が上手くいってなかったんですね。
そのあたりが残念に思えました。

2008.09.19.Fri / 17:33 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは
 確かにジェームスは、相手に応じて態度をがらりと変えてしまう人でした。ジョニーが演じていなければ嫌味なやつになってしまったかもしれませんね。
 それでもメアリーの意識は最後には変わったようにも感じられました、だから、なおさら、二人の関係は何とかならなかったのかな、と思えました。 その点が非常に残念な映画でしたね。

 それじゃ、また。

2008.09.20.Sat / 18:33 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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