ハサミを持って突っ走る  
2008.09.18.Thu / 21:37 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




何一つ制約がない生活。
何をしても叱られない。
怒られない。
そんな世界に紛れ込んだ青年。
けれど、青年は最後まで自分の夢を失わず、
そんな世界から旅立つ。
壊れかけた世界を夢を持って走り抜けた青年を描いた映画。



母親の病気を直すため、
フィンチ一家と暮らすことになったオーガステン。
しかし、このフィンチ一家は自分の母親以上に病んでいる。

何をしても叱られない。
何をしても受け入れられる。
それはとても自由な生活。
心に傷を持ち、精神を病んでいる人々には、
外圧がない、安心できる世界のはずだった。
しかし、そんな世界に生きてみて感じることは、
人生は驚きの連続だと言うこと。
人は際限なく壊れてゆく。
壊れても底は見えず、正常と異常の境目も消えてゆく。
誰かに叱って欲しい、壊れてゆく自分を。
そして止めて欲しい。落ちてゆく自分を。

何一つ制約がない生活。
実は、そんな生活は愛のカケラもない、不毛の世界なのだろう。

夢を持ち、それを追いかけること。それは自己発見への道。
自分が本当に欲しいものを見つける事であり、
夢と自分、理想と現実の差異を知ることでもある。
妄想に取り付かれたオーガステンの母親は、
最後まで自己発見までにはいたらなかった。
自分は自分であること。
母親は、それを必至に捜し求め、詩で有名になろうとした。
しかし、現実と理想の差異を受け入れることが、最後までできなかった。

主であるドクター・フィンチは一見するとまともに見える。
しかし、彼が住む家同様、実は異常で壊れている男だ。
だが、彼はこの家族を支配している。
ドクター・フィンチに反感を持っているはずのニール。
頭ではフィンチから離れなければならないと理解している。
しかし、「今日は治療が進んだ。」という言葉に逆らえないでいる。
この辺りは、いかがわしい信仰宗教にも似ているのかもしれない。
もはや、フィンチを殺すしか、その呪縛から逃れることはできない。
しかし、フィンチを殺せず、遠く離れてゆくニール。


壊れた生活、しかし、
かろうじてこの家が家族という体裁を保つことができたのは、
ドクター・フィンチの妻であるアグネスのおかげだろう。
アグネスは、この家族を、必死になって支えてきたのだ。
それに気づいたオーガステンは、アグネスにグラタンを作ってと頼む。
それはまるで、息子が母親にお願いするように。

最後には、この壊れた家族からも母親からも、旅立つオーガスティン。
その背中を後押しするアグネス。
オーガステンがまともを保つことができたのはいろいろな理由がある。
一つには、彼が夢を持ちつづけたからであろう。
壊れかけた世界を夢(ハサミ)を持って走り抜けた青年を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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