Rain レイン  
2008.11.09.Sun / 22:29 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




三日間も続く長くて激しい雨の中、
大都会に生活する、
苦悩と孤独を抱えた男女を描いた映画。

雨というのは、どうも好きになれない。
ジメジメした雰囲気が気分を重くするからだけではない。
なにか、閉じ込められたような切迫感があるからだ。
特に長く続く激しい雨の中では、なおさらだ。
雨の為ばかりではないが、
この映画の登場人物たちも、心を閉じこめられた、
切迫感の中にいるように感じられる。
そんな苦悩と孤独を抱えた男女を描いた映画。




彼らの苦悩は、使い古された言葉だが、
大都会特有の苦悩だ。
明日の生死や究極的な貧困を抱えているというわけではない。
貧しかろうが、孤独であろうが、なんとか生きてはゆける。
しかし、彼らの苦悩は複雑で、
迷路の如く抜け道は簡単には見つからない。
今より明日は、少しはマシな生活をしたいと願っても、
簡単にはいかない。抜け出せない。
そして、理解者を心の底から欲してはいても、
誰からも理解はされない。
彼らの真の苦悩は、心の奥底に存在して、
表面的に見えるものが苦悩ではないからだ。
だからこそ、彼らの孤独はとても深い。タチが悪い。
タクシー運転手のジョンは、息子に死なれ、
しかし、その話を誰にしても、理解はされない。
最後には、ウィエトレスに話をしてみても、
彼女もまた、理解はしてくれないのであろう。

タイル職人のサンダーは、
すぐにでもまとまったお金を必要とする男だ。
しかし、彼の真の苦悩は貧困や借金ではなかった。
別れてしまった彼女。
その彼女を想い眠れなかった六ヶ月。

鉄道員であるデニスは職を失いかけている。
彼はうすうす気づいている。
会社が自分を厄介払いしたいと考えていることを。
だから、逆らえないでいる。
だから、ここよりはマシな場所に行きたいと願っている。
だが、マシな場所がないことも分っている。

地位と名誉を手に入れたアレックス。
人に施しをしたいと願い、しかし妻に拒絶される。
妻に理解されないことが彼の真の苦悩ではない。
自分は人生の終焉をどのように迎えるのか?
後悔に苛まれて死ぬのではないのか?
そんな不安が頭を離れない。

ヤクを止めるように諭されても、
ヤクを止めることができないテス。
どこか違う場所で新しい生活を始めたいと願い、
しかし、可愛い自分の赤ちゃんの為に、
この悲惨な生活から離れられないでいる。
だから、ヤクを止められないでいる。
逃げられない悲惨な生活に耐えるために。

酒浸りの日々をおくるワルド。
確かに息子は自分に良くしてくれている。
しかし、彼は本当に自分を愛してくれているのか?
ワルドが欲しいのは同情ではない。
愛情であり父親として尊敬されることだ。
しかし、今の自分は、そんな思いからは程遠い。
愛情を確かめたくて金を借り、そして、
借りたことで、自分をさらに情けなくしてしまう。

映画の最後で彼らは、それぞれの終末点を迎える。
自らの苦悩に決着をつけるため究極の選択をした者。
理解者を得て、苦悩が少しは和らいだ者。
なにも変わらず、苦悩を抱えたままに生きる者。
もちろん、この映画が終了しても彼らの人生は続くであろう。
しかし、理解されることで、新しい人生を歩み始める生き方が、
好ましく思えたのは私だけだろうか?

三日間も続く長くて激しい雨の中、
大都会に生活する、
苦悩と孤独を抱えた男女を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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