イントゥ・ザ・ワイルド  
2008.11.13.Thu / 21:56 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




嘘で塗り固められた自分の生い立ちを捨てる為、
生きるための真理を求める為、
荒野に旅立った青年。
自身に強くなることを課して、
しかし、負けて弱さを知ったことで、見えてきたものがある。
なぜ、人は愛し合いながらも、
同時にひどい仕打ちをしてしまうのか?
人生の真理と、本当の愛情を求めて、
荒野をさ迷った青年を描いた映画。
しかし、それ以上に、
我々に人の絆の大切さを教えてくれる映画。


大学卒業を機に、一人旅だった青年、アレックス。
クリストファーという名前を捨て、
嘘で塗り固められた生い立ちを捨て、
物欲に支配された世界を捨てるために一人旅に出る。

高圧的な父親に、
さまざまなことを体験する機会を奪われ続けた青年時代。
だからこそ、アレックスは体験することを渇望していたのだろう。
自分ひとりで何かをすること。
そんな経験が彼には必要なのだろう。
幼少の頃から、いがみあう両親を見続けてきた。
人は、なぜ、このような醜くも愚かしい行いをしてしまうのか?
それは、物が溢れている為なのか。
ならば、物がない世界では、
人は自由になることができるに違いない。
そんな確信にも似た考えでアラスカを目指すアレックス。

旅で出会った様々な人は、
この覇気に溢れる、まっすぐな瞳を持つ青年に、
親切に振る舞い、人生における大切な事を教えようとする。
ある人は、酒を飲みながら。
また、ある人は、自らの息子の経験を伝えながら。
そして、別な人は、神の光の話で例えながら。
しかし、そんな話もアレックスには届かない。
彼の思想は、頭でっかちではあるものの、強固に完成されている。
そう、アレックスは思い込んでいる。
だからこそ、アラスカでの強烈な経験が、
アレックスには必要なのだろう。

自分が強くなることが重要ではない。
自らの強さを感じることが重要なのだ。
だから、過酷な自然に挑む必要がある。
ついに、アラスカの荒野に旅立つアレックス。


ヘラジカの命を無駄なものにしてしまった。
さまざまな経験をして、大きな自然の力を感じ始めた。
しかし、大自然の罠に陥り、病で動けなくなってしまうアレックス。
自らの強さを感じることも大切なことなのだろう。
しかし、それ以上に必要なことは、自らの弱さを知ること。
自らが弱いものであることを自覚したとき、
今まで見えなかったものが見えてくる。

Alone という言葉が、Lonelyという言葉に変わった時、
アレックスもまた、自分の弱さを意識したのだろう。
大自然と死に恐怖し、今まで出会ってきた人々のことを想う時、
赦せなかったはずの両親を赦すことができるようになったアレックス。
確かに両親の愛し方は間違っていたのかもしれない。
しかし、両親は確かにクリストファーを愛していたのだ。
その愛は、まぎれもない真実であり、その愛を見つけられたからこそ、
クリストファーは両親を赦せる気持になったのだろう。
最後には光に包まれるアレックス。

愛し合いながらも、同時に、ひどい仕打ちをしてしまう人たち。
しかし、自らの弱さを知り、失うことの恐れを想像できたのなら、人は、
ひどい行いを止めることも、そして、
ひどい行いの向こうにでさえ、真実の愛を見つけることができるはずだ。
そして、人を赦すこともできるのだろう。
我々に人の絆の大切さを教えてくれる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.642 / タイトル あ行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

実在のクリストファー・マッカンドレスが旅から帰ってきて、
その手記を基に映画化したかと思ったら、
ジョン・クラカワーという登山家が残された記録や取材から、
「荒野へ」という本を書いたんですね。

自分の弱さを知った時、大切なものが見えてきた時、
もう戻れない状況だったのが残念でなりません。
でも光に包まれた主人公が眩しく見えました。
主人公に対するショーン・ペンの眼差しが温かいですね。

2010.07.16.Fri / 18:00 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

経験することを渇望し、自分の強さを感じることで、
誰にも負けない人生を生きることができるはずだった。
けれど、本当に知らなければならないことは、
人は弱いということ。それを知れば、人を許すこともできる。
それを気づいた青年を実社会に戻してあげたかったですね。

監督の眼差しの優しさは、主人公に向けられただけではなく、
私たちにも向けられているのかもしれませんね。

 それじゃ、また。

2010.07.18.Sun / 00:03 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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