ダークナイト  
2008.12.28.Sun / 18:05 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




人の心はもろく、うつろい易い。
熱狂的にヒーローを支持し、その真似をしたかと思えば、
簡単に心を悪に染めてしまう。
狡猾な悪人の手に掛かれば、悪に転ぶのはとても簡単だ。
なぜなら、人の心の何処かには、悪が存在するから。
だから、善の心を維持するのは難しい。
それは並大抵の努力では出来ない。
あらゆる苦痛と忍耐、そして大いなる覚悟が必要なのだろう。
しかし、それこそが悪に対抗できる唯一の方法なのだ。
人が簡単には悪に染まらないことを人々に示すこと。
人の心に灯った僅かな希望を守ること。
そんなことに命を掛けた男を描いた映画。



素性を隠し、日夜悪と戦うブルース・ウェイン。
巨大な力を持つゆえに、自らに「不殺」を科すヒーローだ。
しかし、彼を正確に理解しうる者は少ない。
彼を悪人呼ばわりする者。
逆に、彼の真似をする者。
彼の本質を理解しうる者は、彼の周りのごく僅かな人間だけだ。
人の心を天秤にかけ、悪に転ばすことを生きがいとするジョーカー。
まさに、道化役だ。
人の心は弱く、うつろい易い。
だから、極限的な状態を与えれば、直ぐに壊れてしまう。
ジョーカーは、それを良く知っている。
悪に転んだ人間を見るのが楽しくてしょうがないのだろう。
奇麗事を言っていても人の心には悪が存在する。
そんな人間の本質を暴くのが楽しくてしょうがない。

人々の心には、正義のともし火が必要だ。
そんな重荷を一身に背負うことになったハービー・デント。
しかし、その心労は並大抵のものではない。
自身が悪に狙われるよりは、
大切な人が狙われることのほうが、わが身に堪える。
そして、それこそがデントの最大の弱点。
心労に加え、警察内部に裏切られ、
さらには弱点を衝かれ、ついに心が壊れるデント。

憎きジョーカーが目の前に居る。
しかし、簡単に命を差し出してくる。
そんな男を殺しても、果たして気が晴れるのか?
ジョーカーは巧みにデントの憎しみを警察に向けて、
トゥーフェイスを生み出したのだろう。

デントの本質を人々に明らかにしてはならない。
なぜなら、民衆の心もまた、もろくて壊れやすいからだ。
自らを犠牲にしてまでも、
人が簡単には悪に染まらないことを人々に示そうとしたウェイン。

確かに人の心は移ろいやすく、もろくて、壊れやすい。
しかしまた、人の心には確かに善も存在する。
互いに相手を爆発させることに躊躇した船の乗客たち。
そんな心を知っているからこそ、
そして守らなければならないと感じたからこそ、
ウェインは自らを犠牲にしてデントの正体を隠そうとしたのだろう。

悪に対抗できる唯一の方法。
人が簡単には悪に染まらないことを人々に示すこと。
そして、人の心に灯った僅かな希望を守ること。
そんなことに命を掛けた男を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.649 / タイトル た行 /  comments(4)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

おや~、ヤンさんも「ダークナイト」をご覧になったんですね!
人の心には善も悪も存在するけど、
悪には転びやすく、善を維持するのは難しいものなんですね。
そんなところをジョーカーは鋭く突いてくるんですよね~

バットマンは命を掛けて、人々の希望を守ろうとする、
その後姿が胸に迫って、泣けました。。。

良かったとか感動したとか、ヤンさん自身の
感情が書かれてないように思いますが、どうでしたか? 


さて、今年もまた、ヤンさんのところにお邪魔しては、
私が観た作品ばかり話題にしてまして、
かなりマイペースですいませんでした(^_^;
どうもお世話になりました。

ヤンさんのレビューは、
作品に真摯に向かっているなあと感じるものばかりで
とても読み応えがあるので、これからも楽しみにしています!
また来年もどうぞよろしくお願いします★

2008.12.29.Mon / 22:54 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

おおーーっと。
なかなか鋭い突っ込みですね。
私の解釈=私の感想、ってなわけにはいきませんかね? なんてね。
 ただ、私の個人的感想なのですが、あまりに期待しすぎた為なのか、心に響いてくるものが実は少なかったというのが、正直なところです。前作見てなかったせいでしょうか? なんとなく記号的というか、論理的すぎるというか、もうちょっと苦悩する場面があってもよかったんじゃないのかなあ(恋人が死んだ後とか、正義の為とはいえ盗聴する時とか)なんて思えてしまいました。私自身がまだまだなのかもしれません。

 それじゃ、また。

2008.12.30.Tue / 21:49 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from BLADE -

ヤンさん、お久しぶりです。
以前相互リンクをさせて
いただいている、BLADEです。

もう、ずっとホームページは
放置プレイで、代わりにミクシィを
やってます。

ふと、久々に見に来て見ました。
お元気そうで何よりです。
お仕事で海外を転々としてるようで
すごいですね~。僕もお金と
余裕があれば海外行きたいものです。

それで、ダークナイトの話もしないと
いけないと思いまして、ダークナイトは
映画館でも見ましたし、DVDでも
見ました。テーマ性はすごいし、
映像のすごさは目を奪われるものが
ありますが、確かに前作を見てないと
登場人物の描きが希薄なのがもったいない
ですね。僕も面白かったけど、
前作のほうが泣けましたね。そこの
丁寧さはありましたし。
ただただ、ジョーカーを演じたヒースの
死が残念で仕方がないです。。。

2009.01.23.Fri / 10:23 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

お久しぶりです、BLADEさん。
たまにHPを覘いてましたが、ミクシィでしたか。
なるほど。

BLADEさんもお元気そうで何よりです。
知り合った頃はまだ、学生さんで演劇を始めたばかりでしたでしょうか。懐かしいです。

実は、来週からまた海外出張です。
私も子供の頃は、こんなに海外に行くとは思ってもいませんでしたので、BLADEさんにもいつかはチャンスがあるかもしれませんよ。

 ダークナイト、映画館で見ましたか。羨ましい限りです。私は実は飛行機で見たため、小さな画面、疲れ、前作を見ていない、などの悪条件で十分に楽しめませんでした。それが残念。どうやらブルーレイで出たようなので、一作目から通して見てみようと思います。BLADEさんは前作の方が泣けたんですか、それは楽しみです。

 そして、ヒースの死は本当に残念でした。ここ2,3年、ヒースの作品を立て続けに鑑賞して、いい役者だ、と思い始めたばかりの悲劇。とても残念です。生きていたら、本当にいい仕事を続けたでしょうね。

 それじゃ、また。

2009.01.25.Sun / 18:02 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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