もしかしたらこの映画は、
万人にとっての名作には、なりえないのかも知れない。
しかし、私にとって、この映画はまぎれもなく名作だ。
美しさと、清清しさ、そして儚さ。
底辺に生きる人々の優しさ。
そして、少女と永遠を描いた映画。
両親がいない生活に反発を覚えるケイト。
したい事はやれ、と諭され、ついに家出を実行に移す。
貧しい人々の為に抗議し、
しかし、事故に巻き込まれるパトリック。
出会いは偶然であったのかもしれない。
そして、旅を共にしたきっかけは、
お互いを利用したかったからなのかもしれない。
しかし、最初に出会ったその時に、すでにケイトには、
パトリックの心の底には、優しさがあることが判ったのだろう。
だからこそ、彼についていったのだろう。
道中、いつもいがみ合っているように見える二人。
つまらない事でケンカし、言い争い、
何度も道を違えようとする。
しかし、二人が本気でケンカをしているようには決して見えない。
なんだかんだと言いながらも、結局は共に旅をする二人。
捕まれば死刑になるかもしれない。
しかし、ケイトの為に船出を諦め、
彼女を探し出すために警察にまで乗り込むパトリック。
パトリックは、今まで様々な事から逃げ出してきた。
戦争に行くために恋人と別れ、
今又、犯罪を犯して国を離れようとしている。
しかし、自らの身を危険にさらしても、
逃げては行けない事、守らなければならない事があるのだろう。
それは、自分を慕ってくれているケイトの純粋な想いであり、
その気持ちに応えたいと願う自分自身の良心だ。
旅の終わりは二人の別れ。
そんなことを意識し始めた二人の旅がとても切ない。
旅の途中、寄り道をしたパトリック。
寄り道したのは昔の恋人に会う為?
いや、本当はケイトの母親に会う為だった。
そんなパトリックの気持ちが、とてもうれしい。
後少しで目的地。
しかし、警官に橋の上に追い詰められる二人。
パトリックの身を案じ、一人で逃げるように叫ぶケイト。
しかし、パトリックはケイトを見捨てない。一人置いてはいかない。
二人の強い絆を感じさせる名シーン。
川に落ち、しかし、生還を果たしたパトリック。
再会した二人の最後の会話も、とても粋だ。
パトリックはケイトを相棒と呼んでいた。
しかし、ケイトのパトリックへの想いは、もっと複雑だ。
それは、初恋に近いものなのだろう。
シドニー行きの荷物を万感を込めて見送るケイト。
これまでの事への感謝の思い、旅の無事を祈る気持ち、
そして、別れの寂しさ。
それは、淡い初恋の終焉、しかし、未来での再会への希望。
ケイトは、その光景をきっと忘れはしないだろう。
少女と永遠を描いた映画。