アメリカン・ギャングスター  
2009.02.12.Thu / 19:56 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




正義を信じ正しいことをひたすら実践した男。
正義を信じることが出来ず、悪に生きた男。
しかし、共に敵と考えているのは同じもの。
汚職や賄賂、腐敗。
自らは何もしない、しかし、
ハイエナのごとく金に群がり、甘い汁をすする者たち。
いわば、彼らはアメリカの影の部分であり、クズなのだろう。
そんなアメリカの影に、それぞれの戦いを挑み、
最後には勝利した男達を描いた映画。


幼い頃に警官に従兄弟を殺され、
この世に正義があることを信じなくなった男、フランク。

正しいことを常に実行するリッチー。
なぜなら、それが正しいことだからだ。
自分のボスであるパンビーが死んだ時、
自分が彼にとって替わろうと考えるフランク。
フランクは、パンビーを愛しながらも、しかし、
彼が嫌った方法でのし上がってゆく。
パンピーは所詮、白人に使われていた。
だから、自分は自分の社会を築き上げるのだ。
それはとりもなおざす、
今まで世の中を動かしてきた白人に対する宣戦布告なのだろう。
フランクは、いわば変革者だ。
旧勢力という権力にあぐらをかいて安穏と甘い汁を吸い続ける奴らが、
許せなかったのだろう。

交互に描かれるフランクとリッチーの私生活。
正しいことをしているのに、不幸せなリッチー。
悪に手を染めているのに、幸せなフランク。
まるで対照的な私生活。
そして、麻薬の犠牲で不幸になる人々。
これがアメリカという社会なのだろうか?

いつもは温厚で家族想いのフランクが、しかし、豹変する時がある。
烈火のごとく怒りをあらわにする時が、、
それは、その相手が自分を律することが出来ない時や、
悪徳警官に弱みを握られた時だ。
成功の為に自分を律すること、そして、悪徳警官に負けないこと。
それは、とりもなおさず、彼の信条なのだろう。

目立たないように、隠れて勢力を伸ばしてゆくフランク。
目立てば殺されるかもしれないし、
面倒にも巻き込まれてしまう。
しかし、結婚式という特別な日に、
フランクは悪徳警官に賄賂を要求されてしまう。
ボクシング会場で不用意にも妻に送られた毛皮を着たからだ。
あの目立つ毛皮を、、、
妻からの贈り物である毛皮を燃やしてしまうフランクは、
自らにも妻に対しても、さらなる非情の覚悟を決めたのだろう。

しかし、成功の階段を上り詰めるフランクは、
心の平安も無ければ、白人から独立しているわけでもない。
そして、悪徳警官に賄賂も贈らなければならない。


私生活は荒れて、子供を奪われそうになるリッチー。
けれど、妻は正しいのだ。
自分のそばに置いておけば危険なのだ。
正しいことを実践する、その為に必要な犠牲なのだ。
その犠牲の覚悟を彼も決めたのだろう。


自らの信条の為に、覚悟を決めた者同士、
最後にめぐり合う教会のシーンが素晴らしい。
そして、さりげなく妻と母から逮捕の瞬間を隠す心情が憎らしい。

そして、共通の敵を倒すために手を結ぶ二人。
アメリカの影に、それぞれの戦いを挑み、
最後には勝利した男達を描いた映画。



エンドロール後のシーンの解釈は、さまざまだ。
再び、フランクが悪事を働いたとか、
自分を警察に売った男を殺したとか、、、
私の勝手な解釈は、今のアメリカを撃った、と考える。
つまり、腐敗がアメリカにまだあれば、
フランクはそれを許さない、
ということなのではないのだろうか?
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.662 / タイトル あ行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
あのラストシーン、「アメリカを撃った」とは
カッコいいですね!
フランクも充分に腐敗していたので、
最後に勝利した男とは言いたくないけど、
それ以上に悪徳警官たちはひどかった~
憎たらしさが、よく出てましたよね。

2009.02.13.Fri / 17:48 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

 私だけかもしれませんが、フランクに腐敗という言葉は似合わない印象を持ちました。やってることは弱者から麻薬によって金を奪い、人間としての幸せを吸い取っているんですが、彼は、いわば改革者であり白人中心の社会、賄賂がはびこる世界に挑んでいったという意味で、なにか、リッチーに方法は違えども、似た信条を持っているようにも思えます。確かに、やってることは、悪そのものなんですけど、、、
 自らの手を汚さずに美味い汁を吸いまくる、悪徳警官は、本当にひどい奴らでしたね。

 それじゃ、また。

2009.02.14.Sat / 17:45 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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