フランドル  
2009.02.19.Thu / 21:06 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




人間性の喪失。
徐々に、その人から、その人らしさが失われ
単に生きているだけの機械に成り下がる。
戦争という極限的な状況が、人から人間性を奪ってゆく。
それは、直接的に、しかし、間接的にも。
そんな状態から帰還できた男。
彼は最後には、彼自身を取り戻してゆく。
彼の犯した罪は消えることは無いのだろうが、
しかし、人間性を取り戻すことによって、
自らの罪の意識も、また、蘇り、
償いへの道を歩み始めることが、
出来るようになるのではないのだろうか?
人間性を失った男と女。
彼らが人間性を取り戻すまでを描いた映画。
フランスの片田舎、フランドルに住む、デメステルとバルブ。
二人は、幼馴染であり、一見すると恋人同心のように見える。

デメステルは戦場に行く直前、
しかし、二人の関係を否定する。
照れなのか、自分の気持ちを認識していないのか、
戦場から生きて帰ってくる保障が無い為の否定なのか、
映画からだけでは分からない。
しかし、デメステルはバルブを愛しているように見える。
そして、彼が自分自身の想いを否定した、この時から、
彼の人間性は徐々に失われていったようにも見える。

過酷な戦場。
仲間が簡単に死ぬ。
戦場から去るためには死体になるしか方法がないのか?
目的も明確でないままに進軍するデメステルたち。
子供を殺し、女性を犯し、
ついにゲリラに捕まってしまう彼ら。
生き延びる為には、仲間を見殺しにするしかないのか?
自分が生き延びるため、仲間を見捨てたデメステル。

故郷で一人、戦場に行った男達を待つバルブ。
孤独、愛の無いセックス、そして堕胎。
彼女もまた、人間性を失ってゆく。

バルブは果たして戦場やデメステルたちが見えていたのか?
そのような特殊な能力を彼女が持っていたのかどうか、分からない。
重要なのは、戦場に行った者、残された者が、等しく、
その犠牲になりうるということではないのだろうか?
そして、人間性を失わさせるものは、なにも戦争だけではない、
ということなのかもしれない。

精神病棟で切れてしまうバルブ。
それは、バルブが精神病棟を戦場と錯覚したからなのだろうし、
医者を兵士と錯覚したからであろう。

戦場から一人帰還できたデメステル。
最後には自らの罪を認め、愛を告白する。
この映画を通して、初めてデメステルの心の声を聞いた気がする。
今までは、自らを偽ってきた、しかし、本当の想いを、
ここで告白したのだろう。

愛を認め、罪を認めることによって、人間性を取り戻したデメステル。
きっと彼は自らが犯した罪の償いを始めるのではないのだろうか?
それが、どのような形であるかは分からないが。

人間性を失った男と女。
彼らが人間性を取り戻すまでを描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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