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  ワールド・オブ・ライズ  
2009.02.26.Thu / 20:59 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




友情や信頼、そんな言葉を口からは吐くが、
利用出来る者は、徹底的に利用し、
利用出来なくなれば、容赦なく切り捨てる男達。
そんな男達の中で孤独な戦いを強いられるフェリス。
このような過酷な状況においても、
人間性を失ってはいない男。
しかし、最後には裏切られ自分の立場を思い知る。
それでも、彼は自身の人間性を失わなかったのだろう。
最初はスパイアクションを描いたサスペンス映画かと思った。
しかし、嘘と裏切り、そんな過酷な状況に生き、
そこを離れていった、救われない男を描いた映画。


中東でスパイ活動を遂行するフェリス。
死と隣り合わせの日々を送るものの、
現地の部下の死を悼み、
信頼や友情に、価値を見ている男だ。

フェリスたちに米国から指令を出すホフマン。
自らは安全な土地で人間らしい暮らしをするが、
現地の部下であれば、容赦なく切り捨て、
目的のためには信頼や友情を踏みにじり、
しかし、自らには信頼を強制する上司。
この対照的な二人が効果的に描かれる。
方や家族との平穏な暮らしの中で、
人間性のかけらも持たない男。
方や過酷な環境下で、人からの信頼には、
誠実に答えようとする男。
だが、結局、フェリスは上司の命令には逆らえない。
情報提供者を見捨て、部下を捨てざるを得ない。

目的は同じはずなのに、嘘と嘘の応酬。
組織の思惑が複雑に絡まり、
次々と人々が無駄に死んでゆく。
しかし、そんな状況に成す術なきフェリス。

偶然にも知り合ったアイシャ。彼女を心底助けたいと考えた時、
そして、信頼しようとした、しかし、裏切られた事を知った時、
フェリスの何かが変わったのではないのだろうか?
なんとか、救出され、生還した。
そして、彼が選んだのは、
祖国でもなければ、嘘にまみれた世界でもない。
彼が選んだのは愛する人。

しかし、私だけかもしれないが、彼が救われた印象が感じられない。
それは、
今まで嘘の世界に生きてきたからなのか?
そんな世界の非常さをおもい知ってしまったからなのか?
そんな世界から離れるために、全てを捨てなければならなかった為なのか?
そして、命の危険を伴った彼の行動が全く報われなかったためなのか?

無意味な死体を造り続ける、嘘の世界から離れることが出来た、しかし、
救われない男を描いた映画。

しかし、フェリスが民間人を積極的に巻き込んだ逸話は、
彼の人間性を下げているように感じられ、そこが残念。
この計画も発案者はホフマンとしたほうが効果的のように感じられた。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.666 / タイトル わ行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

フェリスが民間人を巻き込んだデッチ上げは
世の中に流される情報が信じられなくなるくらい
ひどいものだと憤慨しました。

これでハニを騙す事になり、ハニがフェリスを騙す事に
繋がっていくために必要だったようですが、
フェリスの人間性と馴染まない逸話でしたね。

観る者は、安全地帯から指令を出す上司より、
現場で働く人間に共感し、労いの気持ちを持つから、
私としては、彼が救われないとは感じなかったけどなあ。。。
本当に信じられる人と生きていけばいいんじゃないでしょうか。

2009.07.18.Sat / 16:49 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

 フェリスは、最初はアメリカの正義を信じていたのではないかと思えます。自分の役割は、そのアメリカの正義を体現すること。そんな理想も持っていたのではないかと思えます。しかし、やっていることはアメリカの利益を守るために信じたい人々を裏切り犠牲にすること。そこには正義もなにもありません。アメリカという国に住んでいる人々の中にも自国を愛し誇りに思いたい人がいるかと思いますが、それも見事に裏切られています。
 ですから、信じたい人を信じることが出来る状況がフェリスにとっては確かに理想なのでしょうね。それは過去に自分が夢見ていたアメリカに対する幻影を捨てる結果になったとしても、、、

 それじゃ、また。

2009.07.22.Wed / 00:57 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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骨太の社会派サスペンス・アクション映画で、 誰も信じられない緊迫感が最初から最後まで続いて、 引き込まれるんだけど、案外、地味な印象...
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