真夜中のピアニスト  
2009.03.26.Thu / 22:31 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






優しすぎる故に、人からも、父親からも逆らえず、
道を踏み外していった青年。
ふとしたきっかけで、自分を取り戻す機会を掴む。
自分を取り戻す過程で実感すること。
それは、自分が夢見ている理想の世界は、遥かに遠いこと。
そして、自分が居る世界は、とても汚れていること。
果たして、最後に彼は真夜中から開放されたのか?
それとも、囚われたままなのか?
ラストに不思議な余韻が漂う映画。
そして、青年が抱える夜と昼の雰囲気が見事な映画。


トムはとても優しい青年だ。
優しすぎて人にイヤを言うことができないでいる。
父親からの金の取立ての依頼も、
同僚からの浮気のアリバイ作りも、
嫌なのだろうけれど、断らないでいる。
自分は不動産ブローカーだ。
しかし、やっていることは、まるでヤクザ。
ねずみを使って住民を追い出し、
暴力を使って借金の督促をする。
これらも嫌な行為のうちなのであろう。
しかし、無機質な音楽を聴いて気を紛らすトム。

ふとしたきっかけで再びめぐり合った音楽プロデューサーに、
オーディションを薦められる。
プロデューサーは、単なる気まぐれだったのかもしれない。
しかし、トムにとっては、大きなきっかけだ。
トムは再びピアノを弾き始める。

長い間のブランクの為に、思うように手が動かせないトム。
その苛立ちは、まさに、
理想の自分に、なかなかたどり着けない心情を表している。
それは、真夜中から抜け出せない自分に対しても、同様だろう。
トムの苛立ちに、怒り出すピアノの教師。
この映画を通じて、初めてトムの為に行動した人間を見た気がした。
だからこそ、トムは苛立つのを止めたのだろう。

オーディションの前日、思い知るのは、
自分がいた世界の汚さ。
その闇は、とても深い。彼は、このまま、
この真夜中に飲み込まれるのではないかと、
思われるくらいに、その世界は汚れていて、
圧倒的な迫力で襲い来る。

しかし、無事にオーディションの日を迎えるトム。
されど、理想の世界への遠さを思い知る。

最後に彼は、真夜中から抜け出せたのか?
理想の世界と折り合いをつけ、
しかし、父親の仇をぶちのめし、
されど、仇を殺さずに、
だが、血にまみれて笑うトム。
果たして、最後に彼は真夜中から開放されたのか?
それとも、囚われたままなのか?
ラストに不思議な余韻が漂う映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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