ツォツィ  
2009.04.02.Thu / 20:01 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






愛を知り、そして失ってしまった青年。
自らが抱える矛盾を隠し、
強がり、憎み、しかし、憧れる。
命の価値を疑い、軽視し、しかし、大切に扱う。
けれど、最後には帰れる場所を取り戻した青年。
失った愛を取り戻した青年を描いた映画。


自身の名前を捨て、ツォツィと呼ばれる青年。
かつて、母親からは愛を教えられ、
しかし、父親からは命の無意味さを教えられた青年だ。
そんな矛盾を抱えながらも、
仲間には隠して生きている。
だから仲間から、図らずも心の矛盾を指摘された時、
ツォツィは激昂したのだろう。
暖かな家庭を憎む、しかし、憧れる。
命には価値が無いと殺人を犯し、しかし、
犬のようになってまでなぜ生きると問いかける。
矛盾を抱えたまま、ツォツィは、
犯罪の途中で赤ちゃんに出会う。
赤ちゃんを捨てていかなかったのは、
なにも赤ちゃんの無垢さに、
心が動かされたわけではないのだろう。
この赤ちゃんは自分自身。
母親に愛されていた遠い昔の自分。
そして、自分が知らず知らずに憧れている存在なのだ。
だからこそ、手元に置いておきたかったのだろう。

偶然知り合った障害者が、
障害を持ちながらも生き長らえている理由を知った時、
この世には生きるべき価値があることを知る。

腹がへった赤ちゃんにミルクを与えるため、
近所の未亡人を銃で脅すツォツィ。
未亡人にあやされる赤ちゃんを見るうちに思い出すのは、
遠い昔の母親のこと。
母親は確かに自分を愛してくれていたのだ。

赤ちゃんの家に再度押し入ってでも欲しかったのは、
赤ちゃんがいかに両親に可愛がられているかを、
見たかったからなのだろう。
そして、ブッチャーを殺してまでも、守りたかったのは、
赤ちゃんの幸せな家庭なのだろう。そして、
それは、自分の憧れを守ることなのだろう。

帰る場所を失っていたツォツィは、
最後には帰る場所を得ることができた。
それは、彼にとっての母親のような存在の場所。
だからこそ、赤ちゃんを返す気にもなったのだろう。
だからこそ、警察の指示に従い、両手を挙げたのだろう。

失った愛を取り戻した青年を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.678 / タイトル た行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
アカデミー賞外国語映画賞作品は気になる存在です。

ツォツィは強がって突っ張っていても、
母親の事を忘れる事はなかったですね。
そのギャップが切なかったです。

彼は最後に帰る場所を得たという事ですが、
両手を挙げた後に、そこへ帰る事ができるといいですね~

2009.04.03.Fri / 16:57 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

 見る前に思っていた予想は、随分と違い、その違いが素晴らしい映画でした。主人公を演じた少年は、これがデビュー作のようですね。見事なものです。
 本当は、愛してもらいたかったのに、強がっている姿や、そんな家庭的な愛を求めてしまう心情が切ないですね。
 ラストは、どうやら三種類くらいあるそうですが、本編のラストが一番良かったと思いました。

それじゃ、また。

2009.04.05.Sun / 20:08 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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