洗濯機は俺にまかせろ  
2009.05.14.Thu / 20:25 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






大抵の人は皆、中途半端にしか生きられない。
夢を追い求め、懸命にがんばり、
しかし、うまくはいかず、
そして、疲れ果てて、今に至る。
けれど、それでいいのではないのだろうか?
人生には心の修理が必要という以上に、
中途半端にしか生きられない人間を、
応援しているようにも感じられる映画。
そこが、とても優しい映画。



洗濯機は俺に任せろ。
洗濯機といえば木崎、木崎と言えば洗濯機。
そう豪語する木崎。
けれど、本当にそうなのか?

町の小さな中古電器店では、限界があるのかもしれない。
しかし、映画の冒頭、煙を出す修理したての洗濯機。
この映画の題名は、実は単に木崎の願望なのではないのだろうか?

その性格といい、その人生といい、
木崎はとても中途半端な人間だ。
漫画家を目指して上京し、絵は上手だか話は面白くない。
節子に惹かれながらも、
向かいのパン屋でバイトしている秀子にチョッカイを出す。
大紙と抱き合う節子を見て傷ついても、
秀子にすまないとは思わないのだろう。

しかし、木崎は、そんな自分を知っている。
そして、なんとかしたいと思っている。
だから、サックスに夢を託す青年を応援したくなる。
見逃し三振だけはするな、と言われて、まだ見逃してはいないと強がる。
そして、なにか、これだと言えるものを、
自分の人生に、手に入れたかったのではないのだろうか?


やはり中途半端にしか生きられない大紙。
木崎との違いは、やり直す機会を失ってしまったことだ。
いい加減な生活にズブズブとはまり込んで、
抜け出すことができないでいる。

そんな大紙を平手打ちする木崎。
これには嫉妬の気持ちも含まれている。
そして、中途半端には生きていないと思っていた
大紙に対する落胆の気持ちもあったのだろう。
しかし、いろいろと言い訳をつけ、それを正当化する木崎。
これも、なんだか中途半端。

大紙と別れて木崎の元に来た節子。
しかし、木崎に断られてしまう。
好きな女性が、覚悟を決めて自分の元にやってくる。
しかし、その機会を拒否してしまった木崎。
これは、致し方なかったのかもしれない。

節子は大紙とも別れ木崎とも別れ、
新しい人生を歩み始める。
心を修理してもらった節子。
彼女だけは、しっかりと自分を生きている。

最後には節子に洗濯機を届ける木崎。
遠回りしたけど、二人とも、最後にはたどり着けたのだろう。


全編を通じて、とても中途半端な木崎。
しかし、だからこそ、洗濯機を直すことができるのだろう。
疲れた人の心に、優しい言葉を掛けることが出来るのだろう。

仕事は続かない。女もできない。
大阪に居ったらこんなん違うんじゃないかと、ついつい考えてしまう。
でも、いつか夢は叶うんじゃないか。
でも、いつか今を面白いと感じることができるんじゃないか。
そんな方法を今から考えればいいんじゃないか。
中途半端にしか生きられない人間を、
応援しているようにも感じられる映画。
そこが、とても優しい映画。

富田靖子さんの演技を久しぶりに観た。
年をとっても、相変わらずの笑顔。
しかし、取った年の分だけ、
いい女優さんになったな、と感じた。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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