2002.07.01.Mon / 22:47
「ネタバレ」あり。ご注意願います。
物語は、非常に単純明快で直球的です。
テーマもいたって簡単。台詞に何度も登場します。
心から愛した人に、心より愛されること。
それは、人生において一番幸せなことだということです。
たとえそれが、死という運命によって、わずかな間であったとしても、
宝石やお金、ベストフレンドであるはずのダイアモンド、
パトロンとの安定した未来、女優になる夢、、
これらと比べても、一番幸せだということなのです。
いつの日か、ここを旅立とう。
ここでの生活を過去のものにしよう。
サティーンは、最初は女優になりそれを果たそうとします。
しかし、彼女にとっては全く違う方法でそれはもたらされました。
女優になったとしても果たされなかったであろう新しい世界。彼との幸せ。
しかし舞台の初日当日、余命いくばくもないこと知った彼女は
彼を助けるためとはいえ、嘘をつき、舞台に上がります。
その気持ちはどんなであったでしょうか?
自らの寿命を知り、やはり日蔭の運命からは逃れられない、、
そんな思いにとらわれてしまったのではないのでしょうか?
しかし彼女を最後に救うのは、
彼女が宿命から逃れられないと、覚悟を決めて上った舞台そのものでした。
涙で泣き崩れたサティーンの顔の、しかし、美しいこと。
命を削りながらも歌う愛の歌。
鬼気迫る美しさがそこにはありました。
とにもかくにも、二コール・キッドマンがすばらしい。
前半のハイテンションなコメディアンヌぶりから、
後半の、サティーンの気持ちが乗り移ったかのような
彼女の魂の叫びとも思えるほどの、その美しさ。
ユアン・マクレガーも、実に上手に彼女を引き立てています。
まさに、彼女のための映画のように思えました。