ブラックブック  
2009.07.02.Thu / 22:42 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






属している組織だけで、
その人の良し悪しが判断できるわけではない。

二転三転するサスペンス。
果たして裏切り者は誰なのか?

状況が変われば、昨日までの被害者は、
途端に無慈悲で残酷な加害者となりうる。
そんな人間というものの残酷さ。

そんな事を描きたかった映画なのかもしれない。
しかし、それら以上に印象深かったのは、
ヒロインの生命力。彼女のたくましさ。
一人の女性が運命に翻弄され、その運命を呪いながらも、
懸命に生き抜こうとする力強さ。
そんな彼女の力強さが印象的な映画。

そして、人間は信じることができる美しさを持ちながらも、
信じてはいけない残酷さをも併せ持つ不思議な生き物。
そのことは属している組織などとは、無関係なのだろう。
そんなことも印象的な映画。



ユダヤ人である女性、ラヘル。
育ちの良さ、感受性の良さ、
しかし、生きることへの情熱、たくましさ、
そんなことを感じさせてくれる女性だ。
そして、どんな過酷な状況下であっても、
決して自分という人間を失わない強さを持つ女性でもある。
爆撃で隠れ家を奪われ、裏切りにより家族を殺され、
しかし、運よく助かるラヘルは、気丈にも復讐を誓う。
簡単には人を信じてはいけない、第二次世界大戦という危険な時代。
しかし、そんな時代に居ても、
名前を変え、髪の色を変え、
自らの体を犠牲にしようとも、復讐を果たそうとするラヘル。
しかし、彼女の眼は憎しみに曇ってはいない。
自分と同じように肉親を殺され一人生き残ったムンツェ。
簡単に人は信じてはいけないはずだった。
しかし、憎いはずだった敵の中にも、自分と同じ想いを持つ者がいる。
そんな想いを素直に受け入れ魅かれてゆくラヘル。

戦争が終わり、二人の平和が始まるはずだった。
しかし、苦しみに終わりは無い。
憎しみに駆られて、昨日まではあんなに嫌っていたナチと同じ非道を行う市民。
昨日までは味方であり、人道的な救世主であった連合軍が、
今は人を平気で汚物に塗れさせる、残酷な虐待者となってしまった。
昔の仲間に裏切られて処刑されてしまうムンツェ。
そして、同じ志を持っていたはずの仲間の中にも、
ユダヤ人を敵に売り、私腹を肥やしていた者の存在に気付く。
その、かつては仲間だった男を殺してしまうラヘル。
本当は、そんなことをしてはいけないと悟りつつも、、、、

復讐を終え、川にたたずむ二人。
この二人からは、復讐を遂げた高揚感よりは、
人の醜さを思い知り、信じていた人から裏切られた虚しさ、疲労感を感じる。
そんな虚しさのなかからでも、映画のラストでは、ラヘルは幸せを掴む。
けれど、その幸せは長くは続かないのだろう。
ラヘルに忍び寄る戦争の影。
苦しみに終わりはない。
だが、ラヘルは自分を見失わず、たくましく生きてゆくことだろう。

そして、時代の流れに身を任せながらも、幸せを掴んだロニー。
彼女もまた、たくましい。


運命に翻弄され、その運命を呪いながらも、
懸命に生き抜いたラヘル。
そんな彼女の力強さが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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