夜を賭けて  
2009.11.12.Thu / 20:28 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






過激に食べ、飲み、ぶつかり合い、喧嘩するアパッチ村の人々。
勢いに任せるがごとく、戦後の荒涼たる世界を生き抜く彼ら。
未来に対する思慮、保身、将来計画などは微塵も感じられない。
気のみ気のままに生きているように見える彼ら。
それは彼らの人柄や、彼らの出身のお国柄故だけではないのだろう。
祖国に見捨てられ日本では差別を受け、無視され続ける人々。
未来に対する希望が無いからこそ、
今という時を強欲に生きたいと考えているのだろう。
そんな情熱に溢れる映画。
そして、彼らに言わせれば10万人に一人くらいは、
彼らを理解できる日本人がいるそうだ。
しかし、個人と個人では、それが容易くとも、
属する世界が違えば、難しいのだろう。
わだかまりを捨て、お互いを理解し尊敬すること。
その難しさ、尊さをも描いた映画。



国有地から鉄くずを盗んでは売却し、その日の糧としているアパッチ村の人々。
将来においては儲けた金で事業を起こし、
安定した生活をしたいと考えている人間もいるようではあるが、
しかし、大半の人間は、将来の事も考えずに、
今宵の享楽に使ってしまっている様だ。
鉄くずを盗むことは、明らかに犯罪である。
しかし、それを労働と考えている彼ら。
差別され、就職もままならない彼らにとっては、
鉄くずを盗むことは、生き抜くための労働なのだろう。
しかし、警察にとっては彼らの状況など、
知ったことではない。盗むは盗みなのだ。
それを取り締まる警察官たち。
それでも鉄くずを盗むアパッチ村の人々。
お互いを理解しないまま、そこから悲劇は大きくなり、
双方に大きな犠牲を強いる結果となる。
そしてお互いへの憎しみが大きく広がってゆく。
三年ぶりにアパッチ村に戻ってきた、義夫。
殺人を犯した仲間を匿う、とても仲間想いである反面、
疑われることを承知で、拾ったお金を警察に届ける律儀な男だ。
彼の境遇はとても悲惨だ。
済州島、四・三事件により、国によって家族の全てを奪われ、
迫害を避けるため、帰りたくとも故郷には帰れることができない。
そして、日本では、生まれた場所が違うというだけで差別をされ、
存在自身を無視され続ける。
アパッチ村の人々は、誰も似たりよったりの境遇なのだろう。
だから、彼らは、とても熱く生きているのだろう。
未来に希望が見えないから、未来のことを考えない。
未来が無いからこそ、今を強欲に悔いなく生きてゆくのだろう。

ついに始まる、アパッチ村への取り締まり。
警官にも死人や犠牲者が出た。アパッチ村でも、それは同様。
どちらかが一方的に悪いわけではないが、もはや、
双方共に引き返せない所まで憎しみが沸騰している。
そして始まってしまう、悲劇。

日本人であっても、彼らをいたわりたいと願う人はいる。
そして、アパッチ村の人々といえども、
無軌道に暮らしているわけではない。
家族は共に同じ場所で平和に暮らしたい、と願っている。
個人と個人とであれば、理解することも出来るはずだ。
蚊は分け隔てなく彼らからも日本人からも血を吸うのだから。
しかし、さまざまな状況が邪魔をする、悪い方向に行ってしまう。

最後には別れ別れになる恋人同士。
彼らがめぐり合うときは、来るのだろうか?
私たちが理解しあえる時は、くるのだろうか?

アパッチ村の人々の熱い生き様を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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