クヒオ大佐  
2010.01.14.Thu / 21:05 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




あなた
実は○○が嫌いでしょ


自らの願望と現実の区別がつかなくなってしまった男。
二重人格とかではなく、現実を生き、同時に願望をも生きている男。
そんな男を受け入れ、同じ夢を見た女性。
そんな男を逆に手玉に取ろうとした女性。
そんな男に好かれ、逆に、魅かれた女性。

金を貢ぐ者と貢がされる者。
湾岸戦争でアメリカに言われるままに金を出した日本。
両者が同じような関係だと私には思えなかった。
それは男と女が同じ夢をみたから、と私には思えたからだ。

もっとコミカルな映画かと思っていた。
確かにコミカルなシーンもある。
それ以上に夢の世界に生きざるをえない男の哀愁を感じた映画。




ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐。
父はカメハメハ大王の末裔。
母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ。
現在は米軍特殊部隊ジェットパイロット。
しかし、本職は結婚詐欺師。
けれど、彼は完璧な詐欺師ではない。
どちらかといえば間抜けな男だ。
彼が詐欺師になった理由は映画の後半で語られる。
貧しかった少年時代。自らを慰めるために見上げ続けた空。
そんな憧れや願望が、当然のごとく生きる希望に変わり、
生きる為には、無くてはならないものになったのであろう。
そして他人にも、自分をそのように見て欲しいと願ったのだろう。

しのぶの弟に正体がばれた時、
逃げるという選択肢もあったのかもしれない。
しかし、しのぶは自分をパイロットだと信じてくれている。
信じてくれている人の存在が自分が望んだことであり、
自分が生きていける支えなのだろう。
そんな人から逃げられる訳も無かったのだろう。

クヒオ大佐がターゲットとする女性は、
なにも裕福な女性ばかりではない。
たまに、自分よりはしたたかな女性に手を出し逆にカモにされかかるが、
一方で、自分と同じ夢を見ることが出来る女性を選んだような気がする。

この映画では、湾岸戦争にお金を出した日本と、
結婚詐欺にあった女性とが比喩されている。
しかし、私にはどうしても同じには思えない。
しのぶは、クヒオ大佐と同じ夢を確かに見ていたと思う。
だからこそ、一身に尽くしたのだろう。
単にアメリカの上流階級に憧れたというわけではなく、
今の自分がいる世界とは違った世界での生活を夢見させてくれた。
そういう意味で、精神的には、
しのぶも救われていたのではないのだろうか。

堺雅人さんの演技を目当てで見た映画。
確かに堺雅人さんは上手ではあるが、
松雪さんと新井浩文さんがとても良かった。
松雪さんは、
一途なのだけれど幸が薄く男運も悪そうなしのぶの雰囲気がとても上手。
しのぶの弟を演じた新井浩文さんは境雅人さんを食ってしまう迫力。
いつもながらに芸達者な人だと思った。
中村優子さんは、本物のホステスに見えた。
クヒオ大佐をカモろうとする妖しさが素晴らしい。

映画のラストではパトカーに捕まってしまうクヒオ大佐。
しかし、それでも夢を観て、願望を追い求め続けるのだろう。
滑稽ではあるが、哀愁をも感じさせる。
夢の世界に生きざるをえない男の哀愁を感じる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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- from タケヤン -

ヤンさん、こんばんは。
遅れ馳せながら、今年初の書き込みです。
って、もう2月だよ、おいっ!(汗)

ということで、まずは「おくりびと」。
広末涼子という女優は、こういう普通の女性を
演じさせれば凄くいい味を出すんですよね。
巷では悪評が多いようですが、これはたぶん
彼女のことを毛嫌いしてる人達がほざいてる
だけなんじゃないかなと・・・。 
俺はこの作品の彼女は、納棺師の妻としての
心の成長を上手く演じていて、凄く良かったと
思ってます。

「アバター」は、俺は3Dじゃない方で観てしまいました。
映像よりもストーリーに注目したかったのでね。
でも、これはやっぱり3Dで観るべきだったんですかねぇ?
ヤンさんの仰ってるとおり、後半になってからの展開が
ありきたりというか、アメリカ映画にありがちな感じに
なっちゃいましたよね。 ちょっと残念でした。

次は「クヒオ大佐」ですが、そうですよねぇ、
俺も観る前はコミカルな映画を想像してました。
でも、ヤンさんの仰るとおり、男の哀愁を感じ
ましたよね。 それも“かっこいい哀愁”じゃ
なくて“かっこ悪い哀愁”ね(笑)
あ、この映画の松雪さんは素晴らしかったですよね。
俺は中村優子さんにコロッとやられちゃったんですが、
この世の不幸を一身に背負ったような松雪さんの演技も
なかなかだったです。

それでは今年もよしなに。

2010.02.12.Fri / 21:03 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

タケヤンさん、こんばんわ。

なんだか月日の経つのは早いもので、
この前正月を祝っていたと思ったら、
もう2月です。困ったものですね。

おくりびとの、末広さん。
なんだか、私と似たような感想で、
うれしく思います。
彼女がやってきたことや、マスコミに創られたイメージだけで、批判されるのだけは、イヤですね。
ただ、この映画の「けがわらしい」というのは、ちょっと違和感がありましたが、、、、


 おお、アバターを2Dで観てしまったんですね。ご愁傷様です。これは絶対に3Dで観るべきです。今までも確かに3Dの映画はありました。しかし、アバターという映画は、3Dという技術を映画的に使いこなした、最初の作品だと、私には思えます。ただしストーリーは残念の一言。ジョヴァンニ・リビシは、なぜ出てきたんでしょうか?


 それと、クヒオ大佐。念願かなって何とか見てまいりました。確かにカッコ悪い哀愁でした。中村優子さんは、カモられているようで、カモろうとするところが、なかなかに妖しい感じでした。クヒオ大佐の正体を何時見破ったんでしょうか?中村優子さんは、役作りの為に銀座のホステスで働いたそうです。見事なまでの女優魂ですね。

 それじゃ、また。

2010.02.14.Sun / 00:16 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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