2010.01.28.Thu / 21:11 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






幼き少年と少女の初々しい恋愛物語。
しかし、孤独で寂しく、汚れてしまった大人の世界。
この二つの世界はとても対照的だ。
朝の光と夜の闇ほどの違いすら感じさせる。
しかし、初々しい二人の世界の行き着く先は、
実は、汚れてしまった大人の世界。
なぜ、このようなことが起こってしまうのか?
何が人をこんなにも変えてしまうのか?
そんな不条理を問いかけているように見える映画。




偶然に出会い恋に落ちたペールとアニカ。
最初は、お互い話しかけることすら出来ないほどに初々しく、
しかし、話しかけることができるようになれば、
堰を切ったように、強く愛し合う二人。
映画のポスターにもなった、あのシーンはかなり強烈。
タバコは吸う、肉体関係を持つ、しかし、彼らの想いは純粋で強い。

しかし、この映画は、そんな二人ばかりを描いているわけではない。
映画の冒頭での、人生は孤独だという、おじいさんの独白。
なりたい職業に就けなかったという、アニカのおばの告白。
これらは、いずれも、
若かった頃の純粋な気持ちが裏切られた故の寂しさを呪ったものだ。
何かしらの問題を抱えているアニカの両親。
何が問題なのか、映画では描かれない。
というか、多分、当人達にもわかってはいないように感じる。
ただ、日々を惰性で生き、それによって磨り減り、
最初の頃にあったはずの輝きを失ってしまった二人。
出発時点では、若い二人と同じ輝きを持っていたのであろう。
しかし、アニカの父親は叫ぶ、「娘は大金持ちになる!」と。
そして、表彰される側ではなく、表彰する裏方として描かれるアニカの父親。
成功を求められ、しかし、満足のいく結果を残せず、
その結果、自分が自分で嫌になったのだろう。
誰かが成功しない自分をさげすんでいる訳ではない。
自分が成功しない自分をさげすんでいるように感じる。
そんな価値観が、この世界には充満しているのだろう。

迷ってしまったアニカの父親を探す大人たち。
川に落ちてしまったとばかり思われていたアニカの父親は、
しかし、皆の苦労も知らずに、無事に姿を現す。
それは、よかった、という雰囲気からはとても遠い。
この世界は、こんなすれ違いによる疲れに満ちている、
そんなことを感じさせるラスト。


幼き少年と少女の初々しい世界。
孤独で寂しくも汚れてしまった大人の世界。
何が人をこんなにも変えてしまうのか?
そんな不条理を問いかけているように見える映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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