プール  
2010.02.02.Tue / 22:13 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






もっと自分に適した場所があるのかもしれない。
もっと自分が住みやすい場所があるのかもしれない。
しかし、自分はココが気に入ったのだ。
ここにある、空気、水、食べ物、そして共に住む人々。
ここにある全てが気に入ったのだ。
だから、ここで暮らしていると、とても安心できる。
死ぬことも怖くは無い。
いつの日か、
その日が来るまでは穏やかに暮らすことができる理想の場所。
彼らが見つけた終の棲家、安住の地。
自然の成り行きで、たどり着いた自分の住処。
なぜ、彼らはそんなにそこが気に入ったのか?
そんな場所を見つけることが出来た人々のとても自然でシンプルな心情。
人はどんな想いで人や今を受け入れるのか?
そんな人々の心根が嬉しい映画。




さよさんは、学生時代に母親と別居した女性。
そんな、さよさんが、タイにいる母親に会いに来た。
恨み辛みを言うためではないのだろう。
母親をもっと理解したい、そう、考えたように思える。
しかし、自分を捨てた母親が養っていた子供、ビー。
自分の母親にとって、ビーと自分とどちらが大切なのか?
さよさんは、それを考えずにはいられなかったのだろう。
偶然にも母と娘だけで囲む鍋。
その時に、さよさんは、京子さんに問いただす。
なぜ、自分を置いてココに来たのかと。
自分のことは、どうなっても良かったのか?
それに対して、来たかったから来た。あなたは大丈夫だと思った。
そう、答える京子さん。
なんだか、とても苦しい言い訳のようにも聞こえるが、
これは、そう、感じることが出来る人にしか納得は出来ない答えなのだろう。
実は、さよさんは、心のどこかで、ここに来た時から、
そんなことを感じることが出来るように変わって来たように思える。
だから、この会話も喧嘩のように見えて予定調和的に収束し、
鍋を二人で囲むという図に落ち着いたように見えた。

ビーは実の母親と京子さんの、果たしてどちらを選ぶのか?
それは、幼いビーには、とても難しい選択だと、さよさんは考えていた。
しかし、ビーは当たり前だと言わんばかりに京子さんを選んだ。
そんな選択をさせてしまったことを悔やむ、市尾。
しかし、さよさんは、大丈夫ですよ、と答える。
ビーが京子さんを簡単に選べた理由。
それを、さよさんは、
感じることが出来るようになったからの答えなのだろう。

帰国の途中で見かける菊子さん。
さっきまでは、プールのそばに居たはずなのに、、、
あれは幻だったのか、それとも体を抜け出た魂?
仮に、もし、菊子さんはすでに、あの時点でご臨終していて、
魂の姿でさよさんに、お別れの挨拶に来たのだとしたら、、、
そうであったとしたら、さよさんや京子さんは、きっと、
菊子さんらしいね、と菊子さんの死を受け入れ、
気持ちよく送り出すことだろう。

理由なんて、愛ひとつで十分だ。

彼らは偶然によって、そこに住んでいるわけではない。
多くの人に出会い、様々な選択を経て、ここにたどり着いたのだ。
ここにたどり着いた理由。
それを彼らに問うても、自然の成り行き、だとか、
あたりまえの選択、と応えるだろう。
しかし、根本にあるのは、彼らの心に自然と存在する感情の為なのだろう。
京子さんがさよさんと離れて暮らすことができる理由。
ビーが京子さんを選んだ理由。
捨て猫を直ぐに拾ってくる、菊子さんという人間の生き方を受け入れられる理由。
それらも全て、彼らの心にあるシンプルで自然な感情の為なのだろう。

ラストで紙灯篭を打ち上げる彼ら。
きっと彼らが祈ったのは、自分の事よりも、隣人の幸せなのだろう。
その理由も、とてもシンプルで自然。
だからこそ、彼ら彼女らの顔の表情が素晴らしく見えるのだろう。

人はどんな想いで人や今を受け入れるのか?
そんな人々の心根が嬉しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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