ゴールデンスランバー  
2010.04.01.Thu / 21:12 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。



青春は
永遠の中に存在する
束の間のまどろみ
もう帰る事はできない
心の故郷


人は誰でも、あの頃、というものを、
持っているのではないのだろうか?
あの頃は良かった、と思える、あの頃を。
あの頃に居た自分は、当時を良かった、
などとは考えては居なかったかもしれない。
しかし、今の自分ならば、あの頃を良かったと思えるのだろう。
なぜなら、もう、あの頃には戻れないのだから。

そして、あの頃にあった様々なもの。
無邪気に信頼できる仲間。
好ましいと思えた、相手の癖やしぐさ、習慣。
そして、他人と共有できる思い出、蘇ってくる感情。
そんな様々なものが、
あの頃を良かったと今の自分に感じさせてくれるのだろう。

青春時代を共にすごした四人。
しかし、月日は流れ、別々な道を歩み、
あるいは別れ、疎遠となってしまった彼ら。
しかし、ある事件をきっかけに、
昔築いた絆を再び取り戻すことができた。
それは、習慣の力で。
そして、信頼の力で。
または、記憶の力で。
それらは、共に同じ、あの頃、を過ごしたからこその力。
偶然と幸運とにも助けられた。
自分自身の人柄にも助けられた。
しかし、それ以上に自分を助けてくれたのは、あの頃を共有した絆の力。
様々なことに助けられ、不可能を可能にした男を描いた映画。



首相暗殺の犯人に仕立てられた青柳。
それは、国家権力という、とても大きな力によって。
次々とでっち上げられる証拠。
圧倒的な力で迫ってくる警察。
もはや、逃げることも隠れることもできはしないのか?
最初に助けてくれたのは、昔の親友であった森田。
やむにやまれない事情で青柳を騙したものの、
「人間の最大の武器は信頼と習慣だ。」
「ちょっとは疑え。」
「生きろ、無様でもなんでもいい、とにかく生きろ。」
これらの遺言にも近い言葉が、最後まで青柳を生かしたのだろう。


その後、無実を証明することはできなかったが、
青柳の人柄を知っている多くの人間に助けられ、
生き延びることができた青柳。

なぜ、青柳は助かることができたのか?
それは、彼の人柄を知り、協力してくれた人々のおかげ。
そして、それを信頼した青柳の人柄にもよるのだろう。
しかし、映画の後半になると、
共有した記憶の力が大きくなってゆく。
バッテリーさえあれば動くであろう車。
花火に見とれている隙に初めて交わしたキス。
それらを共有した、あの頃の記憶が、
まったく交わらないはずの人々の行動を結びつけ、
最後に青柳は助かったのだろう。

この映画は、一見すると、
逃亡劇を描いたサスペンス映画のように思われる。
当然、そのような側面もあるだろう。
しかし、多くの人の力で不可能な逃走が可能となった、
そんな、ちょっと良い話を描いたような、
ファンタジー映画のように私には思える。

あの頃は良かった、と思えるあの頃。
しかし、どんなに焦がれても、あの頃には戻れない。
あの頃にいた人々は、もう、
あの頃から比べれば、変わりすぎている。
だから戻ることなど、できはしない。
だからそこ、取り戻すことができないあの頃を、
良かったと思えてくるのだろう。
けれど、青柳を助けたのは、紛れも無く、あの頃の力。
取り戻すことはできなくても、あの頃は、確かに存在する。
それは、自分の中にだけではなく、他の人の心の中にさえも。
そんな事実が羨ましくも嬉しいと感じさせてくれる映画。


ゴールデンスランバー@ぴあ映画生活
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.780 / タイトル か行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

あの頃と言える青春時代がとても楽しそうに
そしてちょっと古びた映像で懐かしく映し出されていました。
その中で絆をしっかり築いていたようですね。

だけど今はもう 戻る事が出来ない事も分かっているので、
青柳と竹内結子は直接会う事はなかったですね。
あのエレベーターでのすれ違いは、なかなか粋に描かれていました。

逃亡劇なのに、青柳を救ってくれた人たちの行動が微笑ましくて、
緊迫感よりもほのぼのとしたものが残りました。

2010.09.12.Sun / 16:32 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

 レス遅くなってしまいすいません。

「あの頃」の様々な思い出と絆の力が、なんだか、とても羨ましく思えた作品でした。
 青柳は本当にいい奴で、だから、それが理由で損をすることもあるけれど、信じるもの、信じられるものを沢山持つことが出来るんですね。
 緊迫した状況の中でも、ほのぼの感た奇妙な連帯感見たなものもあって、なんか、良い作品を見た気分にさせられました。

 それじゃ、また。

2010.09.19.Sun / 19:01 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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