2012  
2010.04.15.Thu / 21:21 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人類最後の日が着たら、人はどのように行動するのか?
懸命に生き延びようとする者。
運命を受け入れる者。
遣り残したことを実行する者。
そんな人々を描いた典型的な、ディスアスター映画。

対極的なミクロとマクロの視点の物語が交わり、
生き延びること、それ自身の厳しさを描いた映画。

個人的には、人はこの世界に何を残したいのか、
そんなことが印象的な映画。



2012年。人類最後の年。
それはあっという間にやってきて、
人々を飲み込み、人類に終わりをもたらす。
何も考えずに、これらシーンを見ると、
その圧倒的な迫力だけで、見る価値は十分あるように感じられる。
けれど、すっきりしないラスト。これは何?
人類最後の時を人はどのように過ごすのか?
持てる力の全てを使って生き延びようとする者。
お金、運、人脈、情報。
しかし一方で運命を受け入れる者もいる。
自らの寿命の短さ故に生存する機会を若者に譲る者。
留まり、最後まで自らの責務を果たそうとする者。
遣り残してきた事に想いをはせ、
遅ればせながら実施しようと試みる者。
けれど、最後を迎えることを知った人間は幸せなのかもしれない。
この映画では、大半の人間は訳も分からずに死んでいったのだから。

対極的なミクロとマクロの視点で描かれた、この映画。
マクロの視点は、人類の最後を現実的に泥臭く描いている。
助かるのは一部の金持ち。多くの人は切り捨てられる。
美術品は助かるが、それを作成した者は見捨てられる。
毛皮を着た金持ち達がペットを持ち込めても、一般人は乗船は出来ない。
認めたくは無いものの、現実的であり納得せざるを得ない展開だ。

ミクロの視点は、家族が脱出できた奇跡的な話を描いている。
運良く知りえた情報、運良く乗れた飛行機、
最初は運だけで乗り切ってきた。しかし後半は、
人脈と人が持つ情により助けられる彼ら。
このような幸運があって欲しいと願うものの、
およそ現実的ではない展開。

それら視点がラストで交わる。
船に乗ることが出来ない人々を助けようとするヘルムズリー。
当初の計画通り見捨てようとするアンハイザー。
もし、この映画が単なるディスアスター映画ならば、
ヘルムズリーの主張が正しかったとして大団円を迎えたことだろう。
しかし、結果オーライとなったものの、
ヘルムズリーの主張を受け入れたが為に起こってしまう危機。
そして、その原因は生き延びたいと行動した主人公たちにある。
なにも考えていない展開といえばそれまでではあるが、
何かとても皮肉さを感じてしまう。

ここでは、なんとなく悪役的に描かれているアンハイザー。
しかし、彼は自分の主義どおり母親さえも切り捨てている。
最後の彼の主張は危険を避けるための苦渋の決断とも取れなくは無い。
しかも、多くの人間を切り捨てた側に救済を主張させても、
説得力は感じられない。
結局の所、ヘルムズリーとアンハイザーのどちらが正しいのかは分からない。
しかし、どちらかを決断しなければならない、生き延びるために。
そんなことを言いたいのではないか? とは考えすぎか?

余談ではなるが、字幕で見ると、
「人間はお互いのために闘うのをやめたら人間性を失う」
は、誤訳ではないかと思える。
「The moment we stop fighting for each other
  is the moment we lose our humanity.」
となっているので、直訳すれば、
「私たちがお互いの為に戦いを止めた時が、
 私たちが私たちの人間性に負けた時である。」
であろう。日本語としてはおかしいので、
「私たちの持つ人間性が、私たちに戦い続けることを許さない。」
上手な訳とはいえないが字幕よりは正しいと思う。


果たして自分が同じ境遇に陥ったら、どうするであろうか?
自分の命よりは、箱舟に乗せたいものが沢山あるように思える。
それは、皆、同じなのではないのだろうか?
全てを失って一人で生きるのは、あまりにも寂しいし、意味が無い。
それでは、何を残したいのか?
家族が皆で助かる為に行動した主人公たち。
自らを犠牲にして、息子の命を助けたロシアの大富豪。
人はこの世界に何を残したいのか、そんなことが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.783 / タイトル な行 /  comments(4)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from 猫人 -

さすが、ヤンさん! 濃いですね~。
破壊映像と一緒にこのメッセージにも気づいて欲しいという
監督の意図がひしひしと伝わってくるご感想、あっぱれです!

深いメッセージを読み取れなかったあたくしですが、
宇宙に行かなくて良かった~と思いました。

主役の視点以外から見ると深い作りだったんですね~。

TBありがとうございました♪

2010.04.17.Sat / 12:14 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
>人間はお互いのために・・・
この文章は、ジョン・キューザックが書いた本の一節だったのかな。
それを読んだ地質学者が皆を説得するために使った言葉でしたよね。
とにかく「人類は助け合うものだ」と言いたいんだと解釈してました(^^;
ヤンさんは英字幕もご覧になったんですね~(聞いたのかな?)

この世界に何を残したいのか、自分はどうだろうと、
観た人はふと考えるでしょうね。
本作では、それを考える事が出来た人は、まだ恵まれてました。
大多数は、何も知らされず死んでいったんですから。
きっと自分は何も選択させてもらえない人間なんだろうなあ、
という気がします。

2010.04.17.Sat / 14:58 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

猫人さん、こんばんわ。

いや、無駄に長い文章なだけですよ (^.^;)。

そうそう、私も最初は宇宙に行くものだと
ばかり考えていましたが、現実的な船でしたね。
でも、なぜ、地殻変動が収まったのか???
そこは分かりませでした。

それじゃ、また。

2010.04.17.Sat / 20:53 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

この世界に何を残したいのか。
最後のときに何をしたいのか。
そんなことを考えられることができた人は、
何も知らずに突然死んでしまった人に比べれば、
まだ、幸せだったのかもしれませんね。

まあ、私なんかも、
何も知らされずに、
切り捨てられる人たち側なんじゃ、ないかと思います。
それにしても、映画の、この部分はとてもシビアでした。

それじゃ、また。

2010.04.17.Sat / 20:58 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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