題名のない子守唄  
2010.04.29.Thu / 18:09 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






忘れてしまいたい過去。
捨ててしまいたい過去。
しかし、捨てることも忘れることもできない、忌まわしい経験。

自分は永遠に出発点に立ち続け、進むことができないでいる。
進むためには、奪われてしまった、自分の一部が必要なのだ。

未来にも進めない、過去も振りほどけない。
女としての、自身の人生の全てを奪われてしまった女性。
そんな女性が未来への第一歩を踏み出すまでを描いた映画。


トルナトーレ監督が、
このようなサスペンス仕立ての映画を撮る事に驚いた。
しかし、この映画は紛れも無くトルナトーレ監督の作品だ。
彼が監督であることを思い出させてくれるラストシーン。
トルナトーレ監督らしい映画。



家政婦の職を求めて越してきたイレーナ。
しかし、彼女は探していたのだ。
奪われてしまった自分の一部を。

本来ならば自分と共に未来を歩むはずだった幼い命。
そして、見つけ出した、自分の一部。
テアに近づくためにあらゆる手を尽くすイレーナ。
そして、テアが自分の娘であると確信する。
それは絶望の中にわずかに灯された希望の光。
そんな光は、人を盲目にしてしまうのかもしれない。
しかし、そんな光が無ければイレーナは死んでしまっていただろう。
自らが持つ病気故に面白半分にいじめられてしまうテア。
やられたらやり返すという教育は極端な気がするものの、
しかし、自分自身を守る強い気持ちを身に着けることは、
大切なことだ。
それを母親として教えたかったのだろう。
自分のような奪われ続ける人生を送らない為にも。

血のつながりを追い求め、しかし、知ってしまう残酷な結末。
本当ならば、幸せな家庭を最愛な人と愛する子供と持ちたかった。
しかし、それは叶わない夢。
けれど、短い間だったとはいえ、自分の愛情を注いだ存在は、
大きく未来へ羽ばたいた。
この時、イレーナ自身も未来への第一歩を踏み出すことができたように、
私には感じられた。

自身の人生を奪われ続けたイレーナ。
そんな彼女が未来への第一歩を踏み出すまでを描いた映画。

ただ、サスペンス仕立てで魅せるよりは、
ストレートに扱ってもよい題材であるような気がする。
そのほうが、よりイレーナの心情が伝わってきたのではないか、
と思えてならない。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.787 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.