突撃  
2010.07.15.Thu / 21:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人は自らが手を汚さなければ、
どんなに酷いことも他人に強いることが出来る。
人は自らを守るためであれば、
どんなに酷いことも他人に押し付けることが出来る。
それは、他人の痛みを理解できる想像力が欠けているから。
そして、他人の痛みを無視できる独善性に溢れているから。
しかし、人は見ず知らずの他人の痛みを共感することも出来る。
それは言葉が通じないとしても。
そんな人の救い難さと可能性。
複雑な人間というものの存在が印象的な映画。


難攻不落のアリ塚を攻略せよ。
それは、まったく実現不可能な命令。
しかし昇進をほのめかされ、不可能な命令を受諾する将軍。
そんな無茶苦茶な命令のとばっちりを受けるのは、末端で働く兵士たち。
犠牲は見積もっても全体の6割。しかし、攻略できれば自分の手柄。
将軍にとっては、兵士の命は消耗品に過ぎない。
夜間偵察の最中、部下を殺してしまった中尉。
彼の行いも相当酷いものではあるものの、
将軍同様に簡単に正当化することができてしまう。
そして、動機という点から考えれば、
権力を握り現場から離れれば離れるほどに、
やる事は醜くなってしまうのだろう。

ついに決行される不可能な突撃。
誰もが死にたくはない、だから塹壕からは飛び出せない。
しかし無理やりにでも言うことを聞かせようとする将軍。
そして失敗してしまう作戦。

死にたくないと思う気持ちは人間の本能だ。
しかし、その本能を麻痺させてでも、
自分の思い通りに人を動かしたい軍の上層部。
戦場の恐怖以上の絶望で人を支配させるのが得策なのだろう。
形ばかりの裁判で犠牲となってしまった3人の兵士達。
裁判で人間性を訴えても最初から定められた結果だったのだろう。

酒場でドイツ娘の歌を聴く兵士達。
最初は好奇の目で娘を見ていたはずだった。
しかし、徐々に彼らの気持ちが変化する。
たとえ言葉は通じなくても、
遠く離れた故郷や残してきた家族を思う気持ちは、皆同じ。
だから、彼女の歌から彼女の想いを想像し、
共感することが出来るのだろう。


他人の痛みを無視できる、人間の救い難さ。
他人の痛みを共感できる、人間の可能性。
複雑な人間というものの存在が印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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